決算分析

株式会社アインホールディングス
2026-04期 有報5年推移分析

公開日: 2026/08/04

5年前は実質無借金だった会社 | 有価証券報告書 2026年4月期

参考株価と時価総額

項目
前提2026-08-03 時点の参考株価。提出日現在の発行済株式総数で算出
株価5,797円
発行済株式総数35,428,212株
時価総額2,053.8億円

5年前は実質無借金だった ―― アインホールディングス2026年4月期を読む

提出日:2026-07-29 / 会計期:2026年4月期

項目5期前(2022/4期)当期(2026/4期)変化
売上高3,162.47億円6,478.34億円2.05倍
有利子負債84.67億円1,718.83億円+1,634.16億円
自己資本比率56.0%31.2%△24.8pt

ようか | 驚き

売上が2倍!

すごいじゃん!


やよい | あきれ顔

真ん中の行も見てみよ。


ようか | キョトン

借りてるお金……84億円が1,718億円?

これ桁を間違えてない?


やよい | 自信あり

間違えておらぬ。

5期前のこの会社は、実質無借金と言ってよい姿じゃった。


ようか | 驚き

そこから20倍!?

何があったの!!


やよい | 説明

1年で店の数が倍になる、ということが起きてな。

そのために何を差し出したのか、順に見ていくぞ。


目次

  • 会社概要: 調剤薬局最大手が1年で店舗を倍にした
  • 収益構造: 出店とM&Aで規模を取りにいく
  • 前期からの変化: 売上も借入も過去最大に
  • 当期の注目ポイント: 数字の焦点
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 実質無借金だった会社の変化
  • 指標まとめ: 稼ぐ力と財務の状態
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 調剤薬局最大手が1年で店舗を倍にした

ようか | 笑顔

アインホールディングスかぁ、薬を売ってる会社だっけー?

やよい姉!解説よろしく!!

やよい | 自信あり

うむ!わらわが解説してやるぞ。

薬を売るというより、病院でもらった処方箋を持っていく薬局のほうじゃ。

店の数でいえば日本でいちばん多い。

そこへコスメの店とインテリアの店も抱えておる。

ようか | キョトン

薬局とコスメとインテリア?

なんでその組み合わせなの?

やよい | 説明

もともとコスメは「アインズ&トルペ」という自前の店から始まっておる。

インテリアのほうは2024年8月にFrancfrancを買って加わった形じゃ。

薬局で人が集まる場所と、化粧品や雑貨を買いに来る場所は近い。

そこを同じ会社でやろうという考え方じゃな。

ゆり | 無表情

まとめたのです。

区分内容
主力商品・サービスファーマシー事業(保険調剤薬局)。当期売上の85.9%を占める
その他商品リテール事業(コスメの「アインズ&トルペ」、ライフスタイルショップの「Francfranc」)、化粧品製造販売・飲食料品販売・建物賃貸
収益形態処方箋1枚ごと、来店客1人ごとの都度売上が中心のフロー型。契約による継続課金の収益は開示されていない
開示区分ファーマシー事業/リテール事業/その他の事業の3区分。セグメント利益は経常利益ベース

ようか | 笑顔

薬局にコスメにインテリア、思ったより手広いんだな!

ゆり | 真剣

当期は大きな動きがあったのです。

2025年8月1日に、さくら薬局グループを 610.35億円 で取得して連結に加えたのです。

首都圏・関西圏・東海を中心に約800店舗を持つ会社ですね。

ようか | 驚き

800店舗を丸ごと!?

それって、いきなり店が倍になったってこと!?

やよい | 説明

そのとおりじゃ。

数字で見るのが早いぞ。

項目前期当期
薬局の店舗数1,290店舗2,137店舗
従業員数13,009人17,332人

ようか | 驚き

お店も人も、一気に増えてる!

やよい | 説明

1年でこれだけ形が変われば、決算の数字も当然そのまま比べられぬ。

ゆり | 無表情

薬局を軸に、コスメとインテリアを併営する会社ということですね。

2. 収益構造: 値上げができない商売の伸ばし方

ゆり | 無表情

収益に対する企業姿勢はどうなのでしょう?

やよい | 自信あり

うむ。よい指摘じゃ。

2025年3月に「Ambitious Goals 2034」という10年計画を出しておってな。

2034年4月期に売上高1兆円、EBITDA 1,000億円、ROE 13.5%という数字を掲げておる。

そこへ届く手段として、有報には「積極的な出店とM&Aの活用」とはっきり書いてある。

ようか | キョトン

イービットディーエー?

全然わからん!

ゆり | 無表情

営業利益に減価償却費を足し戻した数字なのです。

現金が実際に出ていかない費用を除いた、おおまかな稼ぐ力の目安ですね。

当期の値は 409.34億円 です。

やよい | 説明

つまり10年で稼ぐ力を2倍以上にすると宣言しておるわけじゃ。

ただし薬局は値段を自分で決められぬ。

薬価も調剤報酬も国が決める公定価格ゆえ、値上げで伸ばす道が塞がれておる。

ようか | キョトン

じゃあどうやって伸ばすの?

やよい | 説明

店を増やすか、会社ごと買うか。

道はその2つしかないのじゃ。

ゆり | 微笑み

伸ばすには先に現金を出す必要がある、ということですね。

やよい | 説明

そうじゃな。

当期の設備投資は 172.55億円 で、賃借している店舗は2,407店舗のうち1,828店舗ある。

出店には敷金も要るゆえ、その残高は 335.71億円 まで増えておる。

ようか | キョトン

先にお金ばっかり出ていって、大丈夫なの?

やよい | 説明

会社自身もM&Aの方針として、こう書いておってな。

「のれんの償却額を超過する収益力を安定的に確保することが可能な買収額」

その約束を守れているかを、今後は見ていく必要があるな。

3. 前期からの変化: 売上も借入も過去最大に

売上と利益:伸びの中に混ざっている一過性

ようか | 笑顔

やよい姉ぇ、店が倍になったなら売上もドカンといってるんじゃない!?

やよい | あきれ顔

慌てるでない。

まずは表で見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
売上高4,568.04億円6,478.34億円
営業利益168.71億円298.32億円
営業利益率3.69%4.61%
親会社株主に帰属する当期純利益92.61億円172.64億円

ようか | 驚き

全部増えてる!

利益なんて倍近いじゃん!

ゆり | 無表情

増収 +1,910.30億円 の中身をセグメント別に分けたのです。

セグメント前期当期前年差
ファーマシー事業3,847.83億円5,564.24億円+1,716.41億円
リテール事業610.41億円802.55億円+192.14億円
その他の事業109.79億円111.53億円+1.74億円

やよい | 説明

見てのとおり、増収のほとんどはファーマシー事業じゃ。

さくら薬局グループの業績が9か月分だけ乗っておる。

残りのリテールは、Francfrancが通期で効いたぶんじゃな。

会社は猛暑で小型扇風機が売れたことと、クリスマス商戦が効いたことを挙げておる。

ようか | 自信あり

じゃあ利益が倍になったのも、全部そのおかげってこと!

やよい | あきれ顔

そこは早とちりじゃ。

最終利益のほうには、その年かぎりの上乗せが入っておる。

ゆり | 真剣

会社の開示にはこう書いてあるのです。

「繰延税金資産の追加計上処理が必要となり、親会社株主に帰属する当期純利益に 約40億円 が追加計上されております」

さくら薬局グループの収益改善が想定を上回ったことが理由です。

実際、税負担率は 44.5% から 28.1% へ下がっていますね。

ようか | 泣きつく

繰延税金資産って何なの~!?

やよい | 説明

将来の税金が軽くなる見込みを、いま資産として立てる会計処理じゃ。

見込みが立った年に、その分だけ税金の費用が減って利益が増える。

現金が入ってくるわけではないゆえ、翌期も続くものではない。

この 40億円 を単純に引くと純利益は 約132.6億円 で、それでも前期比 +43.2% じゃがな。

ゆり | 無表情

もうひとつ、営業利益と経常利益で伸び方が違うのです。

営業利益は +76.8% ですが、経常利益は +57.2% です。

やよい | 説明

支払利息が 2.64億円 から 20.93億円 へ増えたからじゃ。

借入が一気にふくらんだ、その代金じゃな。

そこは次で見ていこう。

現金とネットキャッシュ:冒頭の1,718億円

ようか | 笑顔

800店舗も買ったなら、手元のキャッシュはスッカラカンでしょ!?

やよい | あきれ顔

またそれか。

表を見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
現金及び預金268.81億円509.25億円
現金及び預金の対資産率8.62%9.99%
有利子負債387.25億円1,718.83億円
ネットキャッシュ△118.44億円△1,209.58億円
ネットキャッシュ比率△5.70%△54.16%

ようか | 驚き

あれ!? 現金は増えてる!

なのに下のマイナスがすごいことになってる!

やよい | 説明

現金が増えたのは、稼いだからではない。

借りた額が投資で出ていった額を上回った、その差が残っただけじゃ。

一方で有利子負債は 1,331.58億円 も増えておる。

差し引きのネットキャッシュは 1,091.14億円 の悪化じゃ。

ゆり | 真剣

会社は2026年1月に、総額 1,250億円・期間10年のシンジケートローンを実行しているのです。

さくら薬局グループ取得のつなぎ融資を借り換えるためです。

三井住友銀行や北洋銀行など、8つの金融機関が並んでいますね。

ようか | キョトン

借金の借り換えって、増えてないってこと?

やよい | 説明

つなぎの短い借入を、10年の長い借入に置き換えただけじゃな。

額そのものは減らぬ。

ただし返済の期限が延びるゆえ、当面の資金繰りは楽になる。

会社も「5割超を固定金利で調達しており、金利変動リスクを一定程度回避しております」と書いておる。

ゆり | 無表情

貸借対照表の姿も変わっているのです。

項目前期比較前期当期
総資産3,119.21億円5,096.47億円
のれん847.72億円1,941.82億円
自己資本1,425.21億円1,589.99億円
自己資本比率45.7%31.2%
のれん÷自己資本59.5%122.1%

ようか | 驚き

のれんが自己資本より大きい!?

そんなことあるの!?

やよい | 説明

今回の取得で発生したのれんが 1,213.45億円 じゃからな。

20年で均等に償却するゆえ、毎年 約60.7億円 が費用として乗り続ける。

ようか | キョトン

なんでそんなに大きくなったの?

やよい | 説明

そもそもさくら薬局グループは受入時に負債のほうが大きくてな。

資産 548.66億円 に対し、負債は 1,151.76億円 じゃ。

その差がそのままのれんになった。

ゆり | 真剣

会社も「事業等のリスク」で、のれんの減損と金利変動を明記しているのです。

フリーCF:2期続けて稼ぎを超えて買っている

ようか | キョトン

フリーCFって、なんだっけ?

やよい | 説明

本業で稼いだ現金から、投資で出ていった現金を引いた残りじゃ。

会社が自由に使える分と思えばよい。

まずは表じゃ。

項目前期比較前期当期
営業CF231.46億円308.72億円
投資CF△659.20億円△606.05億円
フリーCF△427.74億円△297.33億円

ようか | 驚き

3つとも良くなってる!

でもフリーCFはまだマイナスなんだ!

ゆり | 無表情

営業CFの要因を、押し上げと押し下げに分けてまとめたのです。

向き項目前年差
押し上げ税金等調整前当期純利益+73.42億円
押し上げのれん償却額+52.81億円
押し上げ減価償却費+27.30億円
押し上げ減損損失+20.73億円
押し上げ未収入金の増減額+49.67億円
押し下げ仕入債務の増減額△42.08億円
押し下げその他の負債の増減額△41.58億円
押し下げその他の資産の増減額△36.47億円
押し下げ売上債権の増減額△26.42億円
押し下げ利息の支払額△19.14億円

ようか | キョトン

いっぱいありすぎて、全然わからん!

やよい | 説明

順を追うとこうじゃ。

のれん償却と減価償却が一気に増えての、現金が出ていかない費用が営業CFを押し上げた。

一方で仕入や売掛の出入りは逆に働いての、利息の支払いも増えた。

差し引きで営業CFは +77.26億円 の増加にとどまっておる。

ようか | キョトン

投資のほうが良くなったのは、買い物をやめたから?

ゆり | 無表情

投資CFの要因も並べてみました。

項目前期当期前年差
子会社株式の取得による支出△514.55億円△458.70億円+55.85億円
敷金及び保証金の差入による支出△47.04億円△13.85億円+33.19億円
有形固定資産の取得△19.30億円
無形固定資産の取得△9.90億円

やよい | 説明

やめてはおらぬ。

前期はFrancfrancなど15社、当期はさくら薬局グループを含む20社を取得しておる。

会社を買う金額は、わずかに減っただけじゃ。

2期続けて営業CFを大きく超える現金を、買収に投じておるということじゃな。

ゆり | 無表情

会社は資金の使い分けを説明しているのです。

「通常の出店費用については営業キャッシュ・フローの範囲内で自己資金により賄っております」

「一方、大型のM&A等については、必要に応じて金融機関からの借入れにより資金を調達しております」とも書いていますね。

やよい | 説明

実際、有形と無形の設備投資は 151.03億円 で、営業CF 308.72億円 の範囲に収まっておる。

つまり店を出すぶんは自前で回せておるのじゃ。

借入がふくらんだのは、あくまで大型のM&Aのほうが理由じゃな。

4. 当期の注目ポイント: 数字の焦点

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢

ゆり | 微笑み

まとめてみました


▶ 売上高は前期比 +41.8%(4,568.04 → 6,478.34億円)なのです。主因は2025年8月1日に取得したさくら薬局グループで、ファーマシー事業だけで +1,716.41億円 なのです。

▶ 営業利益は +76.8%(168.71 → 298.32億円)、営業利益率は 3.69% → 4.61% なのです。ただし5期でいちばん高い 5.11%(2024/4期)には届いていないのです。

▶ 純利益は +86.4%(92.61 → 172.64億円)なのです。会社開示の繰延税金資産の追加計上 約40億円 を含み、税負担率は 44.5% → 28.1% なのです。

▶ 手元資金(現金及び預金)は +89.4%(268.81 → 509.25億円)なのです。営業CFの積み上がりではなく、借入による調達が投資支出を上回った結果なのです。

▶ フリーCFは △427.74 → △297.33億円 で、改善はしましたが2期連続のマイナスなのです。

▶ 有利子負債は +343.9%(387.25 → 1,718.83億円)なのです。自己資本比率は 45.7% → 31.2%、のれんは自己資本の 122.1% なのです。

▶ ネットキャッシュは △1,209.58億円 で、比率が1を超える会社ではないのです。収益は都度売上が中心で、契約による継続課金の区分は開示されていないのです。


5. 5年推移の財務諸表まとめ: 実質無借金だった会社の変化

ようか | 笑顔

前期との違いは分かったけど、ちょっと長いスパンで見るとどうなんだ!?

やよい | 自信あり

うむ、まずは稼ぐ力を見て行こう。


項目2022/4期2023/4期2024/4期2025/4期2026/4期
売上高3,1623,5873,9984,5686,478
当期純利益719211493173
営業利益151160204169298
営業利益率4.79%4.46%5.11%3.69%4.61%

やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?

ようか | 驚き

売上の棒はずーっと右肩上がり!

でも下の線だけ、行ったり来たりしてる!

やよい | 説明

そこが要じゃ。

売上は5期で 2.05倍 になったが、営業利益率は 4%台から5%台 を行き来しておるだけじゃ。

規模が大きくなっても、利益率は上がっておらぬ。

薬価も調剤報酬も国が決めるゆえ、店を増やしても1店あたりの取り分は変わらぬのじゃな。

ゆり | 無表情

5期のなかで利益率がいちばん高かったのは2024/4期の 5.11% なのです。

会社は「高額医薬品処方への対応が増加傾向にあることで処方箋単価が上昇」と説明しています。

5類感染症への移行で外来受診の抑制がゆるんだことも挙げていますね。

ようか | キョトン

じゃあ2025/4期だけ利益が減ってるのは、なんで?

やよい | 説明

そこは会社が理由を書いておらぬ。

ゆり | 無表情

明細から確認できる差額を並べたのです。

項目前年差
ファーマシー事業のセグメント利益△33.01億円
全社費用の調整額+16.60億円
のれん償却額+13.75億円
減価償却費+19.08億円

やよい | 説明

わらわの見立てでは、Francfrancを含む15社を買った直後の費用が重かったのじゃろう。

ゆり | 真剣

会社が因果を書いていない部分なので、そこは推定になりますね。

やよい | 説明

うむ、断定はできぬ。

さて、次にキャッシュの流れを追っていくぞ。


項目2022/4期2023/4期2024/4期2025/4期2026/4期
現金及び預金597468486269509
現金及び預金の対資産率28.11%20.19%19.49%8.62%9.99%
ネットキャッシュ513381419△118△1,210
ネットキャッシュ比率18.89%21.28%20.34%△5.70%△54.16%
フリーCF122△2073△428△297

ようか | 驚き

上にあった棒が途中でひっくり返ってる!

最後なんて下にドーンって伸びてる!

やよい | 説明

冒頭で見せた数字が、この形じゃ。

5期前は現金 597.29億円 に対し借入が 84.67億円 しかなかった。

実質無借金と呼んでよい状態じゃったのじゃ。

そこから2期のあいだに大型のM&Aが2回続いて、いまの形になった。

ゆり | 無表情

フリーCFのほうも、その2期がまとめてマイナスなのです。

利息の負担も変わっています。

項目2022/4期2026/4期
支払利息0.38億円20.93億円
EBITDAを支払利息で割った倍率524.50倍19.56倍

ようか | 泣きつく

借金が増えたぶん、利益が食われちゃうってこと!?

やよい | 説明

そう見たくなるが、本質はもう一段先じゃ。

利息 20.93億円 は稼ぎに対してまだ小さい。

それより重いのは、のれん償却が当期 110.77億円 まで増えたことのほうじゃ。

しかもさくら薬局の分だけで、これから年 約60.7億円 が20年ぶん乗り続ける。

ようか | キョトン

じゃあ、この借金っていつ返せるの?

やよい | 説明

単純に割ると、有利子負債 1,718.83億円 は営業CF 308.72億円 の約5.57年分じゃ。

のれん償却を戻したEBITDAで見れば約3.30年分になる。

加えて当座貸越の枠が 482.00億円 あって、そちらは1円も使っておらぬ。

すぐ詰まる水準ではないが、余裕が5期前とはまるで違うのは確かじゃな。

ゆり | 微笑み

さらに詳細に知りたい人向けに、財務諸表をまとめたのです。

必要な方は以下を開いてください。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022/4期2023/4期2024/4期2025/4期2026/4期
現金及び預金597468486269509
流動資産1,0089831,1071,1281,732
有形固定資産306395435497615
総資産2,1252,3182,4943,1195,096
流動負債8189301,0321,3201,851
固定負債1161221083721,654
純資産1,1901,2651,3541,4261,592
自己資本比率56.0%54.6%54.3%45.7%31.2%

▼ PL(損益計算書)

項目2022/4期2023/4期2024/4期2025/4期2026/4期
売上高3,1623,5873,9984,5686,478
売上原価2,6633,0503,4033,8245,390
売上総利益5005375957441,089
営業利益151160204169298
親会社帰属純利益719211493173

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022/4期2023/4期2024/4期2025/4期2026/4期
営業CF261.6202.7230.2231.5308.7
投資CF△139.4△222.9△157.5△659.2△606.1
財務CF△77.5△112.4△51.1+210.5+537.3
フリーCF122.1△20.372.8△427.7△297.3
現金増減44.6△132.621.6△217.3240.0

(連結・日本基準、単位は億円。自己資本比率は会社開示値です。有利子負債は短期借入金・長期借入金・固定のリース債務の合計で算出しており、社債やコマーシャル・ペーパーの独立した科目は5期とも存在しません。現金増減は現金及び現金同等物の増減額を指します)

6. 指標まとめ: 来期に答えが出る問い

やよい | 自信あり

ここまでを大まかにまとめよう。

…と言いたいところじゃが、ようか、最後にまとめるのじゃ。

ようか | 自信あり

任された!

売上はこの5年で2倍、薬局の数も1年で倍になった!

利益も過去いちばん多いし、のれんが自己資本より大きくなってたのはビックリだったな!

やよい | 自信あり

ほう、続けるのじゃ。

ようか | 自信あり

借金はドカンと増えたけど、店を出すぶんは自分で稼いだお金でやれてるみたいだな!

買った薬局がちゃんと利益を出せるか、そこが見どころだな!

やよい | 説明

よい締めじゃ。

その見どころを、もう少し細かく分けておこう。

  • さくら薬局グループの通期は、のれん償却を超えるのか? → 当期は9か月分じゃ。会社自身が「のれんの償却額を超過する収益力」を買収の条件に掲げておるゆえ、翌期が最初の答え合わせになる。
  • 繰延税金資産 約40億円 が消えた翌期、利益はどう見えるのか? → 当期かぎりの上乗せじゃ。単純に引けば 約132.6億円。ここを起点に比べると増減の見え方が変わる。
  • 営業利益率は5%台へ戻るのか? → 5期で 4%台から5%台 を行き来しておるだけじゃ。規模が2倍になっても率が上がらぬのが、この商売の形でな。
  • フリーCFは3期ぶりにプラスへ戻るのか? → 2期続けてマイナスじゃ。買収の手を緩めるのか、稼ぐ側が追いつくのかで決まる。

ゆり | 微笑み

さらなる分析用は下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年4月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPEREBITDAROICあたりを、財務健全性は流動比率EBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率ネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER11.90倍時価総額 2,053.77億円 ÷ 親会社株主に帰属する当期純利益 172.64億円。前期は22.18倍。純利益に繰延税金資産の追加計上約40億円が含まれる点に注意
現金比率9.99%現金及び預金 509.25億円 ÷ 総資産 5,096.47億円。5期前は28.11%で、総資産の増加に現金が追いついていない
流動比率93.6%流動資産 1,731.73億円 ÷ 流動負債 1,850.56億円。5期では85〜123%の範囲で、最低は前期の85.4%。当座貸越極度額482.00億円は全額が未実行
ネットキャッシュ△1,209.58億円現金及び預金 509.25億円 − 有利子負債 1,718.83億円。有価証券は抽出した財務データに該当科目の行が5期とも無いため0円として扱っている
ネットキャッシュ比率△58.90%ネットキャッシュ ÷ 時価総額(記事作成時点の参考株価ベース)。1を超える水準ではなく、ネット有利子負債側の会社
EBITDA409.34億円営業利益 298.32億円 + 減価償却費 111.02億円。のれん償却額110.77億円を加えた参考値は520.11億円。EBITDA margin は6.32%(のれん償却込みで8.03%)
EBITDA/自己資本25.74%EBITDA ÷ 自己資本 1,589.99億円。5期前は16.76%で、自己資本の伸びより稼ぐ力の伸びが大きい
EBITDA/利息19.56倍EBITDA ÷ 支払利息 20.93億円。5期前は524.50倍、前期は95.62倍
ROIC6.31%営業利益×0.7 ÷(自己資本+短期借入金+長期借入金)。3期前の10.07%がピークで、投下資本の増加に利益が追いついていない

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!

  • 各種規制及び法制度等の変更: 薬価・調剤報酬は厚生労働省が定め、国民医療費の抑制策として段階的に改定される。一般用医薬品の販売規制緩和による異業種参入の可能性もある。調剤売上は消費税非課税だが仕入は課税で、税率改定が薬価に反映されない場合の影響がある。
  • コンプライアンス: 医薬品医療機器等法・健康保険法等に基づく許認可事業のため、不正請求や法令違反で業務停止命令・許認可の取消しを受ける可能性。
  • 業務品質: ファーマシー事業は調剤過誤による医療事故、リテール事業は化粧品・インテリア雑貨・電化製品の転倒や火災、有害物質放出等の人身事故。
  • 経営戦略: 多店舗展開を継続する方針のため、M&Aを含む出店政策の成否や同業他社の出店動向に業績が左右される。
  • 雇用・労務: 薬剤師を含む人材の確保・育成が滞ると出店計画に影響する。エンゲージメント低下による人材流出も挙げている。
  • 情報セキュリティ/ITリスク: サイバー攻撃による情報漏えい・システム停止に加え、当期はAI活用の拡大に伴うアルゴリズムバイアスや生成コンテンツの知的財産権侵害を独立した項目として記載。
  • 社内機密情報・個人情報の漏えい: 処方箋や薬剤服用歴といった患者情報、公式アプリの顧客情報を保持している。
  • M&A: 買収後に計画どおり進まない場合、子会社株式の評価損やのれんの減損損失が発生する可能性。当期末の現金及び預金509億25百万円に対し短期及び長期借入金1,718億54百万円、うち5割超が固定金利と実額を明記している。
  • 災害・事故: 気候変動の移行リスクと物理的リスク、地震・風水害による店舗被害、感染症拡大による外来受診抑制とインバウンド減少、季節性疾患による処方箋枚数の変動。

(当期に記載が厚くなったのは、M&Aリスクの中の借入残高・金利に関する部分と、生成AIを含むITリスクです。リテール事業のリスクが製品事故まで踏み込んだのは、Francfrancが加わったことによる変化です)

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目数値補足
発行済株式総数35,428,212株5期を通じて増減なし。株式分割・株式併合の注記もないため、株価依存指標の分割補正は行っていない
自己株式数93,300株自己保有割合0.26%。当期の自己株式取得はゼロで、譲渡制限付株式報酬として4,196株を処分
株式給付信託(信託E口)保有株式184,900株0.52%。自己株式等には含まれない。実質自己保有合計は278,200株で0.79%
1株当たり年間配当100円前期80円から25.0%の増配。5期では55円→60円→80円→80円→100円と推移
配当利回り1.73%参考株価5,797円ベース
連結配当性向20.3%会社開示値。前期は30.3%で、5期のなかでは当期が最も低い水準
配当総額35.33億円当期に係る配当。2026年7月30日開催予定の定時株主総会の決議事項。期末配当年1回が基本方針で、中間配当の実績は5期を通じてない
配当方針業績に応じた成果の配分を安定的に継続することが基本方針。内部留保は成長力の維持拡大と財務体質の強化に活用するとしている
自己株式取得該当なし直近の実施は2024/4期の24.36億円。当期・前期は取得なし
継続課金型収益に対する配当該当なし契約による継続課金の収益区分は開示されていない。参考として配当総額35.33億円 ÷ 売上高6,478.34億円=0.55%
大株主上位3名で24.41%大谷喜一氏9.18%、セブン&アイ・ホールディングス7.78%、OASIS JAPAN STRATEGIC FUND LTD. 7.45%。大量保有報告書ベースではオアシス マネジメント カンパニー リミテッドが16.68%(2026年4月27日現在)と記載されている

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は本記事を作成した時点の値(5,797円、2026-08-03 終値)を使用しています。時価総額・PER・配当利回り・指標まとめのネットキャッシュ比率はこの参考株価を前提とした参考値で、時価総額の計算では自己株式を控除していません。

5年推移表と前期比較表のネットキャッシュ比率は、各期の有価証券報告書提出日の終値と当時の発行済株式総数から算出した各期の時価総額に基づく参考値です。指標まとめの△58.90%は記事作成時点の参考株価が基準のため、算出基準が異なり値がずれています。

ネットキャッシュは現金及び預金から有利子負債を差し引いた値です。有利子負債は短期借入金・長期借入金・固定のリース債務の合計で算出しています。有価証券は抽出した財務データに該当科目の行が5期とも無いため0円として扱っています。

EBITDAは営業利益に減価償却費を足した定義で算出しており、のれん償却額を含んでいません。当社はのれん償却額が減価償却費とほぼ同規模まで増えているため、のれん償却額を含めた参考値も併記しています。会社が中長期ビジョンで掲げる「EBITDA 1,000億円」の定義は開示されていないため、本記事の値と同じ基準かは確認できません。

さくら薬局グループが連結損益計算書に含まれるのは2025年7月1日から2026年3月31日までの9か月分です。またリテール事業は2024/4期まで「アインズ&トルペ」中心の構成で、2025/4期以降にFrancfrancが加わっています。報告セグメントの3区分は5期を通じて変わっていませんが、中身は入れ替わっているため単純な前年比較には注意が必要です。セグメント利益は経常利益ベースで開示されており、営業利益ベースではありません。

さくら薬局グループを受け入れた時点の資産合計は548.66億円、負債合計は1,151.76億円で、負債が資産を上回る状態での取得です。これがのれん1,213.45億円の主因です。グループ会社のクラフト株式会社は債務超過で、その額は2026年3月末時点で570.67億円と会社が注記しています。

親会社株主に帰属する当期純利益に含まれる繰延税金資産の追加計上約40億円は、当期かぎりの一過性要因として会社が明記しています。翌期以降も当期の税負担率28.1%が続く前提での比較はできません。本記事に載せた「約132.6億円」は、この40億円を単純に差し引いた場合の目安であり、会社が正常化利益として開示している数値ではありません。

2025/4期の減益について、会社は理由を明示していません。本記事ではセグメント注記とキャッシュ・フロー明細から確認できる差額を並べたうえで、費用増の中身は明細から推し量った推定として記載しています。同じくファーマシー事業の処方箋枚数と処方箋単価の実数、さくら薬局グループを除いた既存事業ベースの増収率・増益率も開示されていないため算出していません。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第57期、2026年7月29日提出)をもとに作成した情報整理記事です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。