決算分析

東京エレクトロン株式会社
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/09/04

減益なのに最高益、答えは持ち株にあった | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目
前提2026-09-04 15:30時点の参考株価。当期(第63期)末の発行済株式総数(自己株式控除前)で算出
株価53,320円
発行済株式総数471,632,733株
時価総額251,474.6億円

減益なのに最高益、答えは持ち株にあった ―― 東京エレクトロン2026年3月期を読む

提出日:2026-06-22 / 会計期:2026年3月期

項目前期当期前期比
経常利益7,077.27億円6,303.38億円△10.9%
親会社株主帰属純利益5,441億円5,744.54億円+5.6%(過去最高)
特別利益0.31億円1,207.26億円急増

ようか | キョトン

やよい姉、上と真ん中で向きが逆なんだけど。


やよい | 説明

そうじゃ。

本業の利益は1割減り、最後の利益は過去最高になっておる。


ようか | 泣きつく

え、そんなことある!?

減ったのに最高って矛盾してない!?


やよい | あきれ顔

矛盾はしておらぬ。

いちばん下の行を見よ。


ようか | 驚き

うわっ、けたが違う!

前期はほぼゼロなのに、当期は1,200億円超え!?


やよい | 自信あり

そこじゃ。

この会社、本業の外で大きく稼いだ年でな。


ようか | キョトン

本業の外……?


やよい | 自信あり

順を追えば分かる。

まずは何を売っておる会社か、そこからじゃ。


目次

  • 会社概要: 半導体を作る装置を作る会社
  • 収益構造: 成長投資に積極的な姿勢
  • 前期からの変化: 減益なのに最終利益は過去最高!?
  • 当期の注目ポイント: 数字の焦点
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 市況変動をそのまま映す業績
  • 指標まとめ: 来期に答えが出る問い
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 半導体を作る装置を作る会社

ようか | 笑顔

東京エレクトロンかぁ、半導体を作ってる会社だっけー?

やよい姉!解説よろしく!!


やよい | あきれ顔

まったく、、覚えが悪いのぅ、、思い出すがよい。

東京エレクトロンが作っているのは半導体そのものではなく、半導体を作るための装置なのじゃ。


ようか | キョトン

装置を作る会社なんだ。


やよい | 説明

成膜・エッチング・洗浄・塗布現像・熱処理・テストといった、半導体工場で使う装置一式を開発・製造・販売しておる。

新しい装置を売って稼ぎ、売った後の保守やアップグレードでも息長く稼ぐ、というのが基本の型じゃな。


ゆり | 無表情

まとめたのです。

区分内容
主力商品・サービス半導体製造装置(成膜・エッチング・洗浄・塗布現像・熱処理・テスト等)
その他商品装置設置後の保守・アップグレード・部品供給等のサービス
収益形態新規装置販売が中心のフロー型(顧客の設備投資サイクルに連動)。保守サービス等はストック型
開示区分半導体製造装置の単一セグメント(銀行業・証券業には該当なし)

ようか | 自信あり

じゃあ半導体の会社と組んでるってことは、実質ライバルいない状態ってこと!?


やよい | あきれ顔

そう単純ではないぞ。

海外にも同じ分野の競合はおるし、あくまで単一セグメントで開示しておるだけで、装置の種類ごとに競争は存在するのじゃ。

ただし成膜・エッチング等の複数分野で高い市場シェアを持つリーディングカンパニーではあるぞ。


ゆり | 微笑み

装置を作って売り、その後の保守でも稼ぐ会社なのです。

この5年、半導体市況の変動にどう影響されたのかが見どころなのです。

2. 収益構造: 成長投資に積極的な姿勢

ゆり | 無表情

収益に対する企業姿勢はどうなのでしょう?


やよい | 自信あり

うむ。よい指摘じゃ。

中期経営計画では2027年3月期に売上高 3兆円 以上、営業利益率 35% 以上、ROE 30% 以上という目標を掲げておる。


ようか | 驚き

3兆円!? かなり強気じゃん!


やよい | 説明

さらに、2025年3月期からの5年間で研究開発投資1.5兆円以上、設備投資7,000億円以上という計画も示しておってな。

当期時点の実績は売上高2兆4,435億円で目標比81%、営業利益率25.6%で未達、ROEは29.6%とほぼ到達じゃ。


ゆり | 微笑み

売上や利益率はまだ目標に届いていないけれど、資本効率だけは目標にほぼ近づいている、ということですね。


やよい | 説明

うむ。そうじゃな。

今後は研究開発費と設備投資の積み増しが、売上高3兆円と営業利益率35%という目標にどこまで近づけるかを見ていく必要があるな。

3. 前期からの変化: 減益なのに最終利益は過去最高!?

売上と利益:横ばいの売上、減った本業の利益

ようか | 笑顔

去年と比べて売上と利益はどうだったの?

半導体って景気いい話ばっかり聞くし、どっちも伸びたんでしょ!?


やよい | 説明

それが違うのじゃ。

売上高はほぼ横ばいで、営業利益・経常利益はどちらも減ってしまったのじゃ。

項目前期比較前期当期
売上高24,315.68億円24,435.33億円
営業利益6,973.19億円6,249.36億円
営業利益率28.7%25.6%
経常利益7,077.27億円6,303.38億円

ようか | 驚き

え、売上ほぼ変わってないのに利益だけ減ってるってこと!?


やよい | 説明

わらわの見立てじゃが、研究開発費の伸びが響いておるのじゃろう。

研究開発費は2,500.17億円から 2,778.66億円 へ、1割以上増えておってな。


ようか | キョトン

売上はほとんど増えてないのに?


やよい | 説明

そこじゃ。

売上の伸びは+0.5%にとどまるのに、研究開発費は+11.1%で増えておる。

費用の内訳まで開示からは追い切れぬが、この積み増しが利益率を押し下げた一因と見ておるぞ。


ゆり | 無表情

経常利益は減っているのに、親会社株主に帰属する当期純利益は+5.6%の 5,744.54億円 で過去最高になっているのです。

これは特別利益に投資有価証券売却益115,494百万円が計上されたからなのですか?


やよい | 説明

うむ、そのとおりじゃ。

特別利益は 1,207.26億円(前期0.31億円)に急増しておってな。

うち投資有価証券、つまり政策保有株式の売却益が 1,154.94億円 を占めておる。


ようか | キョトン

持ってた株を売ったってこと?


やよい | 説明

そういうことじゃ。

特別損失は28.84億円にとどまり、差し引きした特別損益の増加は約 +1,194.56億円

経常利益の減益幅△773.89億円をこの増加が上回ったため、最終利益は増加に転じたのじゃ。

現金とネットキャッシュ:借金ゼロのまま積み上がる

ようか | キョトン

じゃあ現金とか借金はどうなってるの?

装置を作る会社って設備にお金かかりそうだし、結構借金あるんじゃない!?


やよい | 説明

その勘は外れておるな。

東京エレクトロンは有利子負債がこの5年間ずっとゼロなのじゃ。

項目前期比較前期当期
現金及び預金4,162.40億円4,512.52億円
現金及び預金の対資産率15.9%15.8%
ネットキャッシュ4,162.40億円4,512.52億円
ネットキャッシュ比率(時価総額比)1.66%1.79%

ようか | 驚き

借金ゼロなのに現金も増えてるの!?


やよい | 説明

うむ。有利子負債ゼロのままキャッシュが積み上がっておる形じゃな。

対資産率がわずかに下がっておるのは、総資産そのものが設備投資・研究開発関連資産の積み上がりで膨らんでおるからでな。

現金の厚み自体が薄くなったわけではないのじゃ。


ゆり | 無表情

現金が増えた要因は、政策保有株式の売却資金が現預金に転化したから、ということですか?


やよい | 説明

うむ、そのとおりじゃ。

投資有価証券の一部売却で得た資金が現預金へ回ってきた形じゃな。

フリーCF:増えたが、増やしたのは本業ではない

ようか | 笑顔

フリーCFってやつも聞いたことある!

それも増えたなら文句なしってことだよね!?


やよい | 説明

結論から言えば増えておる。

ただし中身は少しややこしいのじゃ。

項目前期比較前期当期
営業CF5,821.74億円5,397.32億円
投資CF△1,696.09億円△964.92億円
フリーCF4,125.65億円4,432.40億円

ようか | 驚き

営業活動で稼いだお金は減ってるのに、フリーCFは増えてるってこと!?


ゆり | 無表情

内訳を並べてみたのです。

向き項目前期当期
押し下げ(営業CF)投資有価証券売却損益の非資金調整額△10.46億円△1,154.94億円
押し下げ(営業CF)法人税等の支払額△1,428.14億円△1,783.72億円
押し上げ(営業CF)棚卸資産の増減+479.57億円
押し上げ(営業CF)売上債権及び契約資産の増減△299.00億円(前期比+676.19億円)
押し上げ(投資CF)投資有価証券の売却による収入17.12億円1,173.87億円
押し下げ(投資CF)有形固定資産の取得による支出△1,583.74億円△2,089.84億円

やよい | 説明

営業CFが減ったのは、売却益を営業CFから差し引く調整が入るためでな。

同じ取引の入金は投資CFに載る。見かけ上、営業から投資へ移し替わっただけじゃ。


ようか | キョトン

じゃあ、実際に稼いだお金は減ってないの?


やよい | 説明

そこは慎重に見るべきじゃな。

政策保有株式の売却という一回限りの資金回収が、フリーCFを押し上げたのは確かじゃ。

設備投資は前期から+33.2%と増えておるが、それでも営業CFの範囲内で賄えており、外部負債に頼らずに済んでおる点は変わっておらぬぞ。


ゆり | 無表情

財務CFは△4,253.59億円(前期△3,888.36億円)とさらにマイナス幅が広がっているのです。

配当金の支払額の増加(△2,362.76億円→△2,716.18億円)が主因で、自己株式取得はほぼ前期並みの1,500.10億円なのですか?


やよい | 説明

うむ、そのとおりじゃ。

配当が過去最高の1株628円になった分、支払う配当金の総額そのものが増えておるのじゃ。


ゆり | 微笑み

まとめると、本業の資金創出力はやや鈍化した一方、政策保有株式の整理と手堅い株主還元が同時に進んだ1年、ということですか?


やよい | 自信あり

そう読んでよい。

稼ぐ力そのものは一服したが、持っていた株を現金に換え、その分を株主へ返した年じゃな。

4. 当期の注目ポイント: 数字の焦点

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢


ゆり | 微笑み

まとめてみました。


▶ 売上高は前期比 +0.5% とほぼ横ばいの一方、営業利益は ▲10.4%、経常利益は ▲10.9% の減益なのです。

▶ 親会社株主に帰属する当期純利益は +5.6%5,744.54億円 で過去最高を更新したのです。特別利益 1,207.26億円(前期0.31億円)のうち、投資有価証券売却益 1,154.94億円 が主因なのです。

▶ 現金及び預金は前期比 +8.41% 増加し、5期を通じて最高水準の 4,512.52億円 なのです。

▶ フリーCFは前期比 +7.44% 増加し、4,432.40億円 になったのです。政策保有株式の売却収入が投資CFを押し上げたことが主因なのです。


5. 5年推移の財務諸表まとめ: 市況変動をそのまま映す業績

ようか | 笑顔

前期との違いは分かったけど、ちょっと長いスパンで見るとどうなんだ!?


やよい | 自信あり

うむ、まずは稼ぐ力を見て行こう。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高20,03822,09018,30524,31624,435
当期純利益4,3714,7163,6405,4415,745
営業利益5,9936,1774,5636,9736,249
営業利益率29.9%28.0%24.9%28.7%25.6%

やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?


ようか | 驚き

え、2024/3期だけガクッと落ちてる!?

これ何かやばいことあったの!?


やよい | あきれ顔

早とちりするでない。

半導体市場は2022〜2023年に需要のピークを迎えたあと、2024/3期は顧客の投資が一時的に調整局面に入った年なのじゃ。

翌2025/3期にはAI関連需要の急拡大で売上が +32.9% まで回復しておって、一時的な落ち込みにとどまっておる。


ゆり | 無表情

つまり一時的な市況変動であって、経営の失敗ではなかった、ということですか?


やよい | 説明

うむ。半導体製造装置という業種そのものが、顧客の設備投資サイクルに連動しやすい構造でな。

ピーク(2022〜2023年)→調整(2024年)→AI需要による急回復(2025年)→高水準を維持しつつ研究開発費増でやや減益(当期)。

この4局面が、実額でそのまま確認できるのじゃ。


ゆり | 無表情

研究開発費と設備投資も、5期の実額でまとめたのです。

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
研究開発費1,5831,9122,0292,5002,779
設備投資額5727441,2181,6212,160

ようか | 驚き

え、ほんとに5年間ずっと増え続けてる!?


やよい | 説明

うむ、減収減益だった2024/3期も減速せず積み増しておる。

次はお金の流れを追っていくぞ。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金2,7434,7314,6244,1624,513
現金及び預金の対資産率14.5%20.5%18.8%15.9%15.8%
ネットキャッシュ2,7434,7314,6244,1624,513
ネットキャッシュ比率3.74%5.02%2.80%3.67%1.24%
フリーCF2,2783,8453,0974,1264,432

ようか | キョトン

いちばん下の行、当期が5年でいちばん高い!


ゆり | 無表情

ネットキャッシュ比率は当期がいちばん低くなっているのです。

これは手元資金の厚みが薄れてきている、ということですか?


やよい | 説明

そういう理解の仕方もあるが、本質的には少し違うのじゃ。

ネットキャッシュの金額自体は5期を通じて2,700億円台〜4,700億円台の範囲で、当期も4,512.52億円と5期で2番目の高水準じゃ。

比率が下がったのは分母となる時価総額が株価上昇で大きく膨らんだからであって、現金の厚みそのものが薄れたわけではないのじゃ。


ゆり | 微笑み

さらに詳細に知りたい人向けに、財務諸表をまとめたので、必要な方は以下を見るといいのです。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金2,7434,7314,6244,1624,513
流動資産14,08717,41017,00518,00818,355
有形固定資産2,2312,5913,3744,4175,893
総資産18,94523,11624,56526,26028,610
流動負債4,6866,2996,1196,7796,792
固定負債7888228449281,118
純資産13,47015,99517,60218,55220,700
自己資本比率70.5%68.7%71.1%70.1%71.5%

▼ PL(損益計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高20,03822,09018,30524,31624,435
売上原価10,92012,24610,00312,85313,357
売上総利益9,1189,8448,30311,46311,079
営業利益5,9936,1774,5636,9736,249
親会社帰属純利益4,3714,7163,6405,4415,745

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
営業CF2,8344,2634,3475,8225,397
投資CF▲556▲418▲1,251▲1,696▲965
財務CF▲1,673▲2,565▲3,250▲3,888▲4,254
フリーCF2,2783,8453,0974,1264,432
現金増減6971,368▲109235203

(連結・日本基準、単位は億円。現金増減は現金及び現金同等物の増減額を指す)

6. 指標まとめ: 来期に答えが出る問い

ようか | キョトン

本業は減って、最後は最高益。

これって、良い年だったの?


やよい | 自信あり

一言では決められぬ。

じゃから、来期に答えが出る問いを置いておくとしよう。


  • 政策保有株式の売却益がなくなっても、最高益を更新できるのか? → 当期の純利益5,744.54億円は、特別利益1,207.26億円に支えられている。売る株が減れば、この形は続かない。

  • 研究開発費2,778.66億円の積み増しは、いつ利益率として戻ってくるのか? → 売上比で7.9%から11.4%へ上がり、営業利益率を押し下げた直接の要因になっている。中期計画は営業利益率35%以上を掲げている。

  • 売上高3兆円という目標へ、どう届くのか? → 当期は2兆4,435億円で目標比81%。顧客の設備投資サイクルに振られる商売だけに、残る期間でどこまで詰められるか。

  • 2026年10月の株式分割のあと、株主還元の水準はどう見えるのか? → 配当は分割調整後で628円と過去最高。自社株買いも年1,200〜1,500億円規模で続いている。


ゆり | 微笑み

さらなる分析用は下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPEREBITDAROICあたりを、財務健全性は流動比率EBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率ネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER42.50倍参考株価 ÷ 1株当たり当期純利益(1,254.57円)。利益に対する株価の高さ
現金比率66.4%現金及び預金 ÷ 流動負債。短期の支払い余力に対する現金の厚み
流動比率270.2%流動資産 ÷ 流動負債。短期の支払い余力
ネットキャッシュ4,512.52億円現金及び預金 − 有利子負債(有利子負債はゼロ)
ネットキャッシュ比率1.79%ネットキャッシュ ÷ 時価総額(記事作成時点の参考株価ベース)
EBITDA7,059.18億円営業利益 + 減価償却費。本業の資金創出の目安
EBITDA/自己資本34.10%EBITDA ÷ 自己資本。資本に対する稼ぐ力
EBITDA/利息未計算支払利息の計上が確認できず算出不可(有利子負債ゼロに対応)
ROIC21.13%税引後営業利益 ÷ (自己資本+有利子負債)。投下資本に対する収益力

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!

  • 市場変動: 半導体市場は中長期的な成長が見込まれる一方、短期的な需給変動で顧客の投資が急減・急増するリスク。
  • 研究開発: 新製品の投入が遅れたり顧客要求に合致しなかったりした場合、製品競争力を失うリスク。
  • 地政学: 海外売上比率が高く、国際情勢や各国の政策変化がサプライチェーンや業績に影響するリスク。
  • 調達・生産・供給: 国内中心の生産拠点が災害等で停止した場合や、部品調達が滞った場合のリスク。
  • 品質: 最先端技術を統合した製品の不具合による回収費用・信用低下のリスク。
  • 情報セキュリティ: サイバー攻撃や内部不正による情報漏洩・業務停止のリスク。台湾子会社の元従業員が関与した機密情報事案で、同社が2026年4月に罰金刑(執行猶予付き)の判決を受けたことが新たに開示されている。
  • 人材: グローバルで多様な人材を確保・育成できない場合、製品開発力や競争力が低下するリスク。
  • ファイナンス: 為替変動や各国税制の解釈相違による追加の税負担等のリスク。
  • M&A: 買収先とのデューデリジェンス・統合が不十分な場合、期待した成果を得られないリスク。
  • 拠点展開: 海外拠点の戦略や人員配置が不十分な場合、拠点強化が効果的に進まないリスク。

(上記は16区分のうち主要10項目を抜粋。事業等のリスクの開示区分は、2022年3月期時点の9区分から当期は16区分に拡大しており、人材・M&A・IT基盤等の粒度の細かい区分が新設されている)

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目数値補足
発行済株式総数471,632,733株自己株式15,474,275株を控除した実質流通株式数は456,158,458株(期末基準)。提出日現在は自己株式3,600,000株の消却後で468,032,733株
1株当たり配当額628円分割調整後ベースで過去最高(前期592円から+36円)
配当利回り1.18%628円 ÷ 参考株価53,320円
配当方針配当性向50%目処業績連動型を基本とし、親会社株主帰属当期純利益に対する配当性向50%を目処とする方針を明示。当期の提出会社ベース開示の配当性向実績は60.3%
自己株式取得1,500.10億円CF実支出ベース。2024年3月期以降、年1,200億〜1,500億円規模で継続実施
株式分割1→3(実施済み)、新分割予定あり2023年4月1日付で1株を3株に分割済み。2026年5月29日決議・2026年10月1日効力発生の新たな分割は、参考株価取得日時点で未発効
ストック型収益の位置づけ限定的会社の直接区分はなく単一セグメント開示のため推定。新規装置販売を中心としたフロー型の比重が大きいとみられる

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は本記事を作成した時点の値(53,320円、2026-09-04 15:30時点)を使用しています。

財務数値は連結(日本基準)ベースで整理しています。時価総額・PER・配当利回り・ネットキャッシュ比率は参考株価を前提とした参考値で、自己株式は控除していません。

5年推移表のネットキャッシュ比率は、各期の有価証券報告書提出日の終値と当時の発行済株式総数から算出した、各期の時価総額に基づく参考値です。一方、指標まとめ(PER・配当利回り・当期のネットキャッシュ比率など)は記事作成時点の参考株価を使用しており、算出基準が異なる点にご注意ください。

株式分割について、2023年4月1日付の普通株式1株を3株にする分割は実施済みで、本記事の1株当たり指標はこの分割を反映した数値です。これとは別に、2026年5月29日開催の取締役会で新たな株式分割(発行可能株式総数を900,000,000株から4,500,000,000株へ拡大する定款変更を伴う)が決議されており、効力発生日は2026年10月1日を予定しています。本記事作成時点(2026-09-04)ではこの新しい分割は未発効のため、記事中の株数・時価総額・1株当たり指標はすべて分割前(現行)ベースです。

地域別売上構成(中国売上比率等)については、5期分の開示データを確認しましたが、該当する記述が見当たりませんでした。会社が単一セグメントとして報告セグメント情報の記載を省略しているため、地域別の内訳も併せて省略されている可能性があります。本記事では扱っていません。

営業利益率が押し下げられた背景や、2024年3月期の減収減益の詳細な事情については、経営者による定性的な説明に相当する記述が開示データに含まれていないため、開示された実額(研究開発費や特別損益の内訳、キャッシュ・フロー明細の前年差など)から推し量った推定を含みます。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第63期、2026年6月22日提出)をもとに作成した情報整理記事です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。