決算分析

丸紅株式会社
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/06/26

利益は過去最高、でもROEは5年連続で低下 | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目
株価4913円
発行済株式総数1,660,758,000株
時価総額81,593.0億円

利益は過去最高、なのにROEは下がり続けた ―― 丸紅2026年3月期


ようか | 笑顔

丸紅、当期利益が過去最高だってー!

項目前期当期前期比
売上高77,902億円82,658億円+6.1%
親会社帰属当期利益5,030億円5,439億円+8.1%

やったね!

最高益だぜ!最高益!


やよい | 微笑み

うむ。

前期比で見るとしっかり売り上げも利益も出ており順調じゃな。


ようか | 笑顔

あとは、過去数年で見てどうかだな!


やよい | 自信あり

そうじゃな、さっそく見ていくとしよう


目次

  • 会社概要: 稼ぎ方をひと目で確認
  • 収益構造: 投資で伸ばす商社の姿
  • 前期からの変化: 直近の動き
  • 当期の注目ポイント: 数字の焦点
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 山谷を確認
  • 指標まとめ: 稼ぐ力と安全性
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 稼ぎ方をひと目で確認

ようか | 笑顔

丸紅かぁ、いろんなモノを世界中で売り買いしてるー?

やよい姉! 解説よろしく!!


やよい | 自信あり

うむ、わらわが解説してやろう。

丸紅は世界中のネットワークで輸出入と事業投資を回す総合商社じゃ。

食料、金属、エネルギー、電力、金融、航空と、稼ぐ場所が広い。


ゆり | 微笑み

まとめてみたのです。

区分内容
主力食料・アグリ、金属、エネルギー・化学品、電力・インフラ
その他金融・リース・不動産、エアロスペース・モビリティ、情報ソリューションなど
収益形態トレード(売り買い)と、事業投資による持分損益・受取配当の組み合わせ
開示区分10のオペレーティング・セグメント+その他

ようか | 驚き

セグメント10個!?

多すぎて覚えられないよ〜!


やよい | あきれ顔

全部覚えんでよい。

「モノを売り買いするトレード」と「会社に投資して配当をもらう事業投資」。

この2本柱だけ掴んでおくんじゃ。


ゆり | 微笑み

主力は食料、金属、エネルギー、電力の卸売りなのです。

そこに金融や航空が乗る形ですね。

2. 収益構造: 投資で伸ばす商社の姿

ゆり | 無表情

収益に対する企業姿勢はどうなのでしょう?


やよい | 説明

うむ、よい問いじゃ。

丸紅は2025年度から中期経営戦略「GC2027」を始めておる。

資源権益や電力・インフラ、金融へ投資を積み増す。

そこから持分損益や受取配当を得る、という攻め方じゃな。


ようか | キョトン

持分損益?


やよい | 説明

簡単にいうと出資した会社の利益が出たら 営業外収益

簡単にいうと出資した会社の損失が出たら 営業外費用

とする、会計処理の方法じゃな。

難しく考えず、出資した会社の損益が親会社に乗ると覚えておけばよい


ゆり | 微笑み

元々の稼ぎ方の商品トレードで稼ぎつつ

投資で稼ぎの土台を広げている、ということですね。

ストック型の要素もありそうです


やよい | 自信あり

そういうことじゃ。

だから見どころは、増やした投資が利益と配当にどう返ってくるか、かの。

3. 前期からの変化: 直近の動き

売上・利益

ようか | 笑顔

よし!まずは売上と利益から教えて!


ゆり | 無表情

さきほども出しましたが数字を並べるのです。

項目前期当期前期比較
収益77,902億円82,658億円
親会社帰属当期利益5,030億円5,439億円

やよい | 微笑み

当期利益は過去最高じゃ。


ようか | キョトン

そこ、また出てきた! なんで利益が増えたのにもうかり度は下がるんだ〜?

自己資本と財務の厚み

やよい | 説明

ROEは「利益 ÷ 自己資本」じゃ。 利益も増えたが、自己資本がそれ以上に増えた。 だから割り算の答えは小さくなる。

項目前期当期前期比較
親会社所有者帰属持分36,292億円43,637億円
親会社所有者帰属持分比率39.44%41.43%
総資産92,020億円105,318億円

ようか | キョトン

なるほど〜、財布が分厚くなりすぎたってこと?


ゆり | 微笑み

近いです。 自己資本が1年で7,000億円以上増えました。 持分比率も41%まで上がっています。


ゆり | 無表情

商社は事業投資のために有利子負債も使う業種です。 だから現金の多い少ないだけで安全性は測れません。 持分比率が上がったのは、財務が安定方向に動いたサインですね。

手元資金とネットキャッシュ

ようか | キョトン

借金と現金のバランスはどうなってるの〜?


ゆり | 無表情

借金と現金、ネットキャッシュを並べますね。

項目前期当期前期比較
現金及び現金同等物5,691億円5,511億円
有利子負債25,350億円24,100億円
ネットキャッシュ△19,659億円△18,589億円

やよい | 説明

商社は投資の資金を借入でまかなう。 だからネットキャッシュはずっとマイナスじゃ。 これは危ないという話ではなく、商社では普通の姿じゃな。 当期は社債の償還と長期借入の返済が、新規調達を上回った。 それで借金が1,250億円ほど減っておる。

フリーCF

ようか | 笑顔

お金の出入り、フリーCFはどうなった〜?


やよい | 説明

当期はフリーCFが大きく増えておる。

項目前期当期前期比較
営業CF5,979億円5,354億円
投資CF△3,953億円△1,180億円
フリーCF2,026億円4,174億円

主因は投資CFのマイナス幅が縮んだことじゃ。

  • 営業CF要因: 高水準は保ったが、前期よりやや減少
  • 投資CF要因: 前期に集中した大型投資の反動で、当期は出が縮小
  • 相殺要因: 営業CFの小幅低下が、フリーCF拡大をいくらか打ち消す

ゆり | 無表情

当期はフリーCFの黒字を、配当、自己株式取得、債務の返済に充てた形です。 財務CFは△4,662億円と、流出が広がりました。


ゆり | 微笑み

投資を絞った年はフリーCFが膨らみます。 攻めた年は逆に縮みます。 年ごとの振れはそういう構造から来ているのです。

4. 当期の注目ポイント: 数字の焦点

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ〜わたしにも分かるようにポイントまとめて〜(泣き顔)

ゆり | 微笑み

今期を一言で言えば、「利益は過去最高、でも資本が増えすぎて効率は下がった年」です。


▶ 収益は前期比 +6.1%、当期利益は +8.1% で過去最高を更新です。

▶ 自己資本は前期比 +20.2%(+7,345億円) と大きく積み上がりです。

▶ フリーCFは前期比 約+2倍(2,026億円→4,174億円) に拡大です。

▶ 拡大の主因は投資CFのマイナス幅縮小です。前期の大型投資の反動です。

▶ 受取配当と持分損益というストック収益が、利益を下支えする構造です。


5. 5年推移の財務諸表まとめ: 山谷を確認

ようか | 笑顔

前期との違いは分かったけど、長いスパンで見るとどうなんだ!?


やよい | 説明

うむ、まずは稼ぐ力からじゃ。

丸紅はIFRS(国際財務報告基準)で「営業利益」を開示しておらん。

だからここは「該当なし」としたぞ。

項目5年前4年前3年前2年前当期
売上高85,08691,90572,50577,90282,658
当期純利益4,2435,4304,7145,0305,439
営業利益該当なし該当なし該当なし該当なし該当なし
営業利益率該当なし該当なし該当なし該当なし該当なし

稼ぐ力は売上総利益と親会社帰属当期利益で見る。

売上総利益は5期で8,953億円から11,827億円へ、ずっと伸びておる。


やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?


ようか | 笑顔

なんかデコボコしてる!


やよい | 自信あり

そうじゃな、じゃが収益は8〜9兆円のレンジ、

利益は5,000億円台でしっかり定着した。


ゆり | 真剣

資源市況の追い風で大きく上振れた

資源市況が落ち着いていく中で

そのあと、利益をしっかり戻しているという事ですか?


やよい | 自信あり

うむ。トレードの売上は市況で振れる。

事業投資からの配当と持分損益が、利益の土台を支えておりそうじゃな。


やよい | 説明

次はキャッシュの流れを追うぞ。

項目5年前4年前3年前2年前当期
フリーCF2,3227,6311,0812,0264,174
現金及び現金同等物5,7866,0895,0635,6915,511
ネットキャッシュ-18,600-14,845-19,024-19,659-18,589
ネットキャッシュ比率-21.78-17.79-23.10-24.09-22.78

ゆり | 無表情

世界の情勢は色々ありましたが、フリーCFは5期とも黒字を保っているのですね。


ようか | 驚き

でもネットキャッシュはずっとマイナスじゃん!?


やよい | 説明

うむ。

ネットキャッシュは、現金から有利子負債(社債及び借入金)を引いた値。

商社は事業投資の資金を借入でまかなうので、比率基準は企業ごとに違うが商社では普通の姿じゃな。


ようか | キョトン

そうなのか


やよい | 説明

投資を絞った年は膨らみ、攻めた年は縮む。

それでも黒字を切らさんのが、丸紅のキャッシュ創出力の強さじゃな。


ゆり | 微笑み

詳しく知りたい人向けに、財務諸表をまとめておきました。

気になる方は下を開いてみてください。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

数値はすべて連結(IFRS)なのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目5年前4年前3年前2年前当期
現金及び現金同等物5,7866,0895,0635,6915,511
流動資産44,30537,60639,46340,21445,061
有形固定資産9,5479,47610,81511,25411,448
総資産82,55679,53689,23692,020105,318
流動負債36,73127,97428,46328,23032,810
固定負債22,44221,74325,14526,10427,370
純資産(資本合計)23,38329,82035,62837,68645,138
自己資本比率27.1636.1838.7739.4441.43

▼ PL(損益計算書)

項目5年前4年前3年前2年前当期
売上高(収益)85,08691,90572,50577,90282,658
売上原価76,13381,39261,84766,43670,831
売上総利益8,95310,51310,65811,46611,827
親会社帰属純利益4,2435,4304,7145,0305,439

▼ CF(キャッシュ・フロー)

項目5年前4年前3年前2年前当期
営業CF3,1196,0634,4255,9795,354
投資CF△7971,568△3,344△3,953△1,180
財務CF△4,196△7,666△2,542△1,220△4,662
フリーCF2,3227,6311,0812,0264,174
現金増減(期末残高)5,7866,0895,0635,6915,511

6. 指標まとめ: 稼ぐ力と安全性

やよい | 自信あり

ここまでをざっくりまとめよう。

  • 利益は5,000億円台が定着し、当期は過去最高を更新した。
  • 自己資本は5年で約2倍、持分比率も41%まで上がった。
  • フリーCFは年で振れるが、5期とも黒字を保っておる。
  • ROEは資本の厚みで低下傾向。会社は累進配当と自己株式取得で還元を強めておる。

ようか | 自信あり

投資を続けて稼ぎの土台を広げる商社、ってことが分かったぞ! 増やした投資がこの先どう実るか、見ていきたいな!


やよい | 説明

最後に、来期以降の宿題を3つ置いておこう。

  • 過去最高益でも下がったROEは、どこで反転するのか? → 利益が伸びても自己資本がそれ以上に増えると、効率は落ち続ける。還元と再投資のバランスが問われる。
  • 絞った投資はいつまた攻めに転じるのか? → 当期はフリーCFが膨らんだが、GC2027で投資を再加速すれば再び縮む。投資のタイミングが次の利益を決める。
  • 増配と自己株式取得は、資本の積み上がりに追いつくのか? → 累進配当と自己株式取得を続けても、利益の伸びが資本を増やせば効率は戻りにくい。

ゆり | 微笑み

さらに細かいデータは、下を開いてご覧ください。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPERやEBITDAやROICあたりを、

株主還元余地は現金比率やネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

※ 連結IFRSの実数で算定

指標算出値見方
PER約15.0倍時価総額81,593億円 ÷ 当期利益5,439億円。会社開示の株価収益率は17.00倍(基準株価が異なる)
現金比率5.23%現金及び現金同等物5,511億円 ÷ 総資産105,318億円
短期返済比率85.60%流動有利子負債4,717億円 ÷ 現金5,511億円
ネットキャッシュ△18,589億円現金5,511 − 有利子負債24,100。商社特性で構造的にマイナス(ネットデット)
ネットキャッシュ比率△22.78%ネットキャッシュ÷時価総額。商社はレバレッジ前提のため、水準だけで良し悪しは決めない

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!。

  • 為替変動リスク: 海外子会社・持分法会社の損益や受取配当の多くが外貨建て。対米ドル1円変動で当期利益への影響は年間約19億円、対豪ドル1円変動で年間約6億円と会社試算。
  • 商品市況リスク: 原油1バレル1米ドル変動で年間約2億円、銅1トン100米ドル変動で年間約13億円の当期利益影響を会社試算。
  • 信用リスク・流動性リスク: 取引先信用状態に応じた貸倒引当金を設定。金融市場の混乱や格付格下げ時に資金調達が制約される可能性。
  • 気候変動リスク: TCFD提言に沿ったシナリオ分析を実施。農業資材・植林などで物理的リスクを認識。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

  • 発行済株式総数: 1,660,758千株
  • 自己保有割合: 約1.34%(自己株式22,278,100株)
  • 1株当たり年間配当: 107.5円(2026年3月期)。2027年3月期予想は115円
  • 配当利回り: 約2.19%(記事作成時点の参考株価を前提とした参考値)
  • 配当性向: 46.4%(会社開示)
  • 株主還元方針: 総還元性向40%程度、累進配当の継続、機動的な自己株式取得

項目5年前4年前3年前2年前当期
1株当たり配当62.078.085.095.0107.50

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は記事作成時点の値を使用しています。 本記事の財務数値は、丸紅がIFRS連結であることを踏まえ、連結(IFRS)の財務データと有価証券報告書の連結主要経営指標を主データとしています。 営業利益・EBITDA・ROICは、丸紅がIFRSで営業利益を開示していないため「該当なし」としています。 財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります。 本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(2026年3月期、2026年6月12日提出)をもとに作成した情報整理記事です。

特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。