決算分析

全国保証株式会社
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/07/11

増収増益なのにキャッシュが半減 | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目
前提記事作成時点の参考株価を使用
株価2,961.5円
発行済株式総数137,743,580株
時価総額4,078.8億円

増収増益、なのに財布が半分になった ―― 全国保証2026年3月期を読む

提出日:2026-06-12 / 会計期:2026年3月期

項目前期当期前期比
営業収益569.72億円587.39億円+3.1%
経常利益445.18億円465.54億円+4.6%
現金及び預金1,375.77億円725.45億円-47.3%

ようか | 驚き

ねえねえ、全国保証って増収増益なんでしょ?

なのに現金が -47.3% って、半分近く消えてるじゃん!?


やよい | あきれ顔

慌てるでない。

収益も利益もちゃんと伸びておる。なのに財布だけが軽くなった。


ようか | キョトン

え、稼いでるのにお金が減るって……どういうこと?


やよい | 自信あり

そこが今期の読みどころじゃ。

数字をひとつずつめくっていくぞ。


目次

  • 会社概要: 稼ぎ方をひと目で確認
  • 収益構造: 投資して残高を積む姿勢
  • 前期からの変化: 直近の動き
  • 当期の注目ポイント: 数字の焦点
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 山谷を確認
  • 指標まとめ: 稼ぐ力と安全性
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 自分で貸さない「保証屋」

ようか | 笑顔

全国保証かぁ、お金を貸してる会社だっけー?

やよい姉! 解説よろしく!!

やよい | あきれ顔

まったく、覚えが悪いのぅ。

全国保証は自分で金を貸す会社ではないのじゃ。

銀行などが貸す住宅ローンに「保証」を付けて、保証料をもらう信用保証専業の会社じゃ。

保証した残高が積み上がるほど将来の保証料も積み上がる、ストック型じゃな。

ゆり | 無表情

まとめたのです

区分内容
主力商品・サービス民間金融機関向けの信用保証(住宅ローン保証が中心)
その他商品・サービスアパートローン・カードローン・教育ローン等の保証
収益形態保証料を契約期間にわたり積み上げるストック型
開示区分その他金融業(信用保証専業、銀行・証券ではない)

ようか | キョトン

自分でお金を貸してるわけじゃないんだ

やよい | あきれ顔

そういうことじゃ。

貸し手の銀行が回収できぬ時に、代わりに弁済する役回りでな。

そのリスクを引き受ける代わりに保証料を得ておる。

ゆり | 微笑み

保証残高が将来の収益を決めるので、残高がどれだけ積み上がるかを見るのが基本ですね。

2. 収益構造: 設備ではなく提携で伸ばす

ゆり | 真剣

この会社は、収益をどう伸ばそうとしているのでしょう。

やよい | 説明

よい問いじゃ。

姿勢は「提携網と保証残高に投資して伸ばす」

提携する金融機関を増やし、信用保証の子会社をM&Aで取り込んで残高を積み上げておる。

ゆり | 無表情

工場や店舗のような設備投資はあまりなく

提携拡大のために投資しているということですか?

やよい | 自信あり

そうじゃな

成長は提携拡大と残高の積み増しに依存する

あとは保証履行に備えた引当や、余ったお金の運用が損益とキャッシュにどう効くか。

ここを追っていく必要があるな。

3. 前期からの変化: 損益とキャッシュが逆を向いた

営業収益と経常利益: 本業は静かに伸びた

ようか | 驚き

収益も利益も、そろって元気に伸びたのか!?

やよい | あきれ顔

落ち着くのじゃ。

信用保証業ゆえ、売上ではなく営業収益で見るぞ。

ゆり | 無表情

営業収益も経常利益も、そろって前期から伸びています。

項目前期当期前期比較
営業収益569.72億円587.39億円↑ 増加(+3.1%
経常利益445.18億円465.54億円↑ 増加(+4.6%
親会社株主帰属純利益320.89億円325.26億円↑ 増加(+1.4%

やよい | 説明

派手ではないが、増収増益。

土台にあるのは保証債務残高というストックじゃ。

ゆり | 微笑み

有報によると、保証債務残高は2025年12月に 20兆円 を突破。当期末(2026年3月期)実績は 21.4兆円 ですね。

会社は2027年3月期に22.5兆円まで積み上げる計画です。

ようか | 驚き

21兆!?

……桁が大きすぎてピンとこない!!

やよい | あきれ顔

無理に実感せんでよい。

この残高から保証料が毎期入ってくる構造じゃ。

現金及び預金とネットキャッシュ: ここで財布が軽くなった

ようか | キョトン

で、さっきの財布の話だよ。中身、前期より分厚くなったの?

ゆり | 無表情

現金及び預金は 1,375.77億円 から 725.45億円 へ、大きく減っているのです。

項目前期当期前期比較
現金及び預金1,375.77億円725.45億円↓ 減少(-650.32億円
有利子負債(社債)300.00億円300.00億円→ 横ばい
ネットキャッシュ1,075.77億円425.45億円↓ 減少(-650.32億円

ようか | 驚き

650億円も減ってる!

と、倒産しちゃうんじゃ!?

やよい | あきれ顔

慌てるでない。キャッシュは消えたのではなく、姿を変えただけじゃ。

債券などの運用資産(投資有価証券など)へ置き場を移した。それだけのことでな。

ゆり | 無表情

投資有価証券が積み増され、流動資産の有価証券も大きく増えているのです。

項目前期当期前期比較
投資有価証券2,851.24億円3,091.45億円↑ 増加(+240.21億円
有価証券(流動資産)95.32億円440.94億円↑ 増加(+345.62億円

やよい | 自信あり

そういうことじゃ。

債券などの運用残高を含めれば、手元の厚みは保たれておるぞ。

フリーCF: 投資CFが流れを変えた

ようか | 笑顔

CFはどうなったのー?

やよい | 説明

フリーCFは、340.48億円 から -95.23億円 へ大きく減少したのじゃ。

項目前期当期前期比較
フリーCF340.48億円-95.23億円↓ 減少(-435.71億円

やよい | 説明

急減の主因は投資CFじゃ。前期 +6.25億円 から当期 -423.56億円 へ転じておる。

ゆり、報告書ではどう書いてある?

ゆり | 真剣

はい。

投資有価証券の取得による支出が、前期 341.80億円 から当期 480.74億円 へ増えています。

さらに当期は、有価証券の取得による支出 199.62億円 も計上されていますね。

ようか | 笑顔

まだ買ってる!

どれだけ債券が好きなんだよ!

やよい | 微笑み

好きというより、それが仕事の一部でな。

先ほども触れたが、余ったお金で運用資産を買い増したんじゃな。

要因内容
主因(投資CF)投資有価証券の取得支出 480.74億円(前期比+138.94億円)に加え、有価証券の取得支出 199.62億円 が発生
相殺要因投資有価証券の売却・償還による収入 171.93億円。営業CFは 328.33億円 と高水準を維持

4. 当期の注目ポイント: 数字の焦点

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢

ゆり | 微笑み

まとめてみたのです。

▶ 営業収益は前期比 +3.1% で、当期は 587.39億円 なのです。

▶ 親会社株主帰属純利益は前期比 +1.4% で、当期は 325.26億円 なのです。

▶ 現金及び預金は前期比で -47.3% と大きく減ったのです。

▶ フリーCFは前期比で -128.0% と転落し、当期は -95.23億円 なのです。

▶ 手元資金減少の主因は、運用資産取得で投資CFが大きくマイナス転換したことなのです。

▶ 中核の保証料収益はストック型で、安定した収益基盤が配当原資を支えているのです。

5. 5年推移の財務諸表まとめ: 山谷を確認

ようか | 驚き

前期との違いは分かったけど、もっと長いスパンで見るとどうなんだ!?

やよい | 説明

うむ、まずは稼ぐ力から見ていこう。

なお5年前(2022/3)は連結が未作成で、単体の参考値じゃ。


項目5年前4年前3年前2年前当期
売上高488億円503億円516億円570億円587億円
当期純利益278億円286億円288億円321億円325億円
営業利益406億円415億円416億円445億円466億円
営業利益率83.02%82.46%80.52%78.14%79.26%

やよい | 自信あり

ようか、ここから何を見る?

ようか | 笑顔

利益率がやたら高いな!80%近くあるじゃん!

車の会社とかって10%くらいって聞いたことあるぜ!?

やよい | 微笑み

気づきはよいのじゃが、その比べ方は罠でな。

80%を製造業の10%と並べて「8倍すごい」と読んではいかんぞ。

ようか | キョトン

え、なんで? 利益率は利益率じゃん。

やよい | 説明

費用の中身がまるで違うからじゃ。

製造業は材料を仕入れ、工場を動かして物を作る。売上の大半が原価で消えるゆえ、10%残れば上等。

対して全国保証の収益は保証料で、仕入れも工場もないのじゃ。

ゆり | 真剣

代わりに費用の主役は、人件費などの営業費用と、ローンが焦げ付いたときに肩代わりする損失への備え(引当)ですね。

やよい | 自信あり

そこが肝じゃ。

つまりこの80%は「今は焦げ付きが少なく、備えの費用が小さい」という状態を映した数字でな。

景気が崩れて肩代わり(代位弁済)が増えれば費用が跳ねて、利益率は一気に下がりうる。

物を安く作って高く売る力を示す製造業の利益率とは、測っておるものが別なのじゃ。

ゆり | 無表情

なお信用保証業のPLには製造業式の営業利益がないため、

この表の営業利益・営業利益率は経常利益を使った参考値として見てください

やよい | 説明

次はキャッシュの流れを追っていくぞ。


項目5年前4年前3年前2年前当期
現金及び預金1,690.24億円1,649.59億円1,253.42億円1,375.77億円725.45億円
現金及び預金の対資産率40.65%37.24%26.86%27.94%14.48%
ネットキャッシュ1,390.24億円1,349.59億円953.42億円1,075.77億円425.45億円
ネットキャッシュ比率34.1%33.1%23.4%26.4%10.4%
フリーCF-86.73億円-73.42億円-246.92億円340.48億円-95.23億円

ゆり | 真剣

現金が直近でぐっと減ったのは、本業が苦しくなったということですか?

やよい | 説明

さっきも触れたが、本質はそうではないのじゃ。

営業CFは5年を通して 287億円 から 334億円 のレンジで安定しておる。

減ったのは余資を債券などの運用資産へ振り向けた結果でな、本業のキャッシュ創出力は厚いままじゃ。

ようか | キョトン

でもさ、フリーCFの山谷、ジェットコースターすぎない?

沈んだり跳ねたり、忙しい会社だなー!

やよい | 説明

これも正体はさっきと同じ、運用の売り買いじゃよ。

年ごとに債券をいくら買い、いくら戻ってきたか

ゆり、変動の大きかった年を調べて見よ

ゆり | 真剣

はい。

3年前(2024/3期)は、投資有価証券の取得支出が 753.04億円 に膨らみ、

フリーCFは -246.92億円 に沈みました。

2年前(2025/3期)はその取得が 341.80億円 へ半減。

定期預金の払戻超過 +80億円 と投資有価証券の売却・償還収入 153.89億円 が乗って、

+340.48億円 へ戻っています。

ようか | 驚き

たくさん買った年はドカッと沈んで、控えた年はポンと浮くのか!?

やよい | 自信あり

そういうことじゃ。業績が荒れているというわけではない。

ゆり | 微笑み

なるほど。

年ごとにフリーCFが上下するのは、運用資産をいくら買い、いくら償還されたかのタイミング次第、ということなのですね。

さらに詳しく知りたい方は、以下に財務諸表をまとめたので見てみてください。

▼ 財務諸表を見る

ゆり | 無表情

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

2022/3期は連結未作成のため、単体値を参考表示しているのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022-03(単体)2023-032024-032025-032026-03
現金及び預金1,690.24億円1,649.59億円1,253.42億円1,375.77億円725.45億円
総資産4,158.14億円4,429.45億円4,666.18億円4,923.98億円5,008.31億円
純資産1,848.27億円2,056.19億円2,250.82億円2,386.78億円2,451.48億円
自己資本比率44.4%46.4%48.2%48.5%48.9%

▼ PL(損益計算書)

信用保証業のため、売上原価・売上総利益の区分は該当なしです。

項目2022-03(単体)2023-032024-032025-032026-03
営業収益488.42億円502.72億円516.38億円569.72億円587.39億円
経常利益405.51億円414.56億円415.81億円445.18億円465.54億円
親会社帰属純利益278.35億円285.84億円287.96億円320.89億円325.26億円

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022-03(単体)2023-032024-032025-032026-03
営業CF292.82億円287.00億円313.04億円334.23億円328.33億円
投資CF-379.55億円-360.42億円-559.96億円6.25億円-423.56億円
財務CF-85.01億円-91.59億円-103.19億円-193.11億円-273.37億円
フリーCF-86.73億円-73.42億円-246.92億円340.48億円-95.23億円

6. 指標まとめ: 稼ぐ力と安全性

やよい | 自信あり

ようか、最後にまとめてくれるか?

ようか | 笑顔

コツコツ積み上げて、財布も分厚い。

安定タイプって感じだな!

やよい | 説明

リスクもしっかり見て投資するのじゃぞ!!

ようか | 笑顔

おー!

やよい | あきれ顔

ゆり | 無表情

さらに細かい指標は、下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026-03期)

やよい | 説明

単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPERやEBITDAやROICあたりを見るとよいぞ。

財務健全性は短期返済比率やEBITDA/利息、株主還元余地は現金比率やネットキャッシュ比率を見るのじゃ。

指標算出値見方
PER約12.5倍参考株価 ÷ 1株当たり利益(会社開示は12.9倍)
現金及び預金725.45億円当期BSの現金及び預金
短期返済比率参考値有利子負債 ÷ 流動負債(流動負債は参考扱い)
ネットキャッシュ425.45億円現金及び預金 − 有利子負債(社債300億、運用資産は別途プラス)
ネットキャッシュ比率10.4%ネットキャッシュ ÷ 時価総額(参考)
EBITDA423.86億円営業利益 + 減価償却費
EBITDA/自己資本17.3%EBITDA ÷ 自己資本(純資産ベース)
EBITDA/利息54.34倍EBITDA ÷ 支払利息等
ROIC10.53%税引後営業利益 ÷ 投下資本(金融業のため参考)

リスク

ようか | キョトン

有報からの抜粋だぜ!

  • 信用リスク(保証履行): 住宅ローン等の代位弁済の発生・回収が業績を左右する。景気・金利・不動産市況の影響を受ける。
  • 金利・運用リスク: 余資を債券等で運用しており、金利変動が運用損益や投資CFに影響する。
  • 提携先依存・競争: 民間金融機関との提携が収益基盤で、提携網の拡大と他保証会社との競争が成長を左右する。

株主還元

ゆり | 真剣

株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

参考株価は 2961.5円 です。

  • 当期発行済株式総数: 137,743,580株(2025/4/1に1:2株式分割済み)
  • 当期自己株式数: 4,589,400株(自己保有割合 約3.33%)
  • 1株当たり年間配当(分割後ベース): 120円、配当利回りは約4.05%(参考株価値)
  • 配当性向の推移: 32.8%(2022/3)→ 50.8%(2026/3)と上昇基調
  • ストック型収益(保証料)に支えられた安定配当が原資

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は記事作成時点の値を使用しています。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります。

2022/3期(第42期)は連結ではなく、単体値を参考として用いています。

ネットキャッシュは現金及び預金等から有利子負債を差し引いた参考値で、運用資産(投資有価証券等)を加味した保守的な概算です。

2025/4/1に1:2の株式分割を実施しており、第45期以前と第46期では1株当たり指標の基準株数が異なります。

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第46期、2026年6月12日提出)をもとに作成した情報整理記事です。

特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。