決算分析

ANYCOLOR株式会社
2026-04期 有報5年推移分析

公開日: 2026/08/04

売上4倍、それでも利益率だけ下がった | 有価証券報告書 2026年4月期

参考株価と時価総額

項目
前提2026-08-03 時点の参考株価。提出日現在の発行済株式総数で算出
株価2,606円
発行済株式総数61,128,029株
時価総額1,593.0億円

売上4倍、それでも利益率だけ下がった ―― ANYCOLOR2026年4月期を読む

提出日:2026-07-27 / 会計期:2026年4月期

項目前期当期前期比
売上高428.76億円556.81億円+29.9%
営業利益162.79億円201.72億円+23.9%
営業利益率38.0%36.2%△1.8pt

ようか | 驚き

売上、1年で100億円以上増えてるじゃん!

しかも5年で4倍だって!?


やよい | 自信あり

うむ。

減った年が1度も無い、というのがこの会社の5年じゃ。


ようか | 笑顔

すごいじゃん!

文句のつけどころないな!


やよい | あきれ顔

早いのう。

右端の数字をもう一度見てみよ。


ようか | キョトン

……あ、利益率だけ下がってる。

なんで? 売れてるのに?


やよい | 説明

売れておるからこそ、じゃな。

この会社が何を売って伸びたのか、そこと地続きの話でな。


ようか | 驚き

え、なにそれ気になる!!


やよい | 自信あり

順に見ていくぞ。


目次

  • 会社概要: にじさんじの運営会社
  • 収益構造: 投資して伸ばす姿勢
  • 前期からの変化: 増収増益とキャッシュ増
  • 当期の注目ポイント: 数字の焦点
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 5期連続で増収増益
  • 指標まとめ: 稼ぐ力と財務健全性
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: にじさんじの運営会社

ようか | 笑顔

ANYCOLORかぁ、にじさんじの会社だっけー?

やよい姉!解説よろしく!!

やよい | 自信あり

うむ!わらわが解説してやるぞ。

にじさんじというVTuberのグループを運営しておる会社じゃ。

所属しておるのは約180名での、

配信する人にアバターと配信の環境を貸して、その先を丸ごと商売にしておる。

ようか | キョトン

え、配信の投げ銭で稼いでるってこと!?

やよい | 説明

そこは一部での、いまや1割ほどじゃ。

キャラクターの権利を会社が持っておるから、

グッズやデジタル商品を売ったり、ライブを打ったり、企業との広告も受けられる。

ようか | 驚き

へぇー、投げ銭だけの会社じゃないんだ!

やよい | 説明

ひとことで言えば、自社で抱えたキャラクターを、

物販とイベントと広告で現金に変える会社じゃな。

ゆり | 無表情

まとめたのです。

区分内容
主力商品・サービスVTuberグループ「にじさんじ」の運営。グッズやデジタル商品の販売(コマース領域)が売上の約7割
その他商品配信の投げ銭・メンバーシップ・広告収入(ライブストリーミング領域)、ライブ公演(イベント領域)、タイアップ広告やIPライセンス(プロモーション領域)、中国でのVTuberビジネス等(その他領域)
収益形態物販・公演・広告案件が中心のフロー型。メンバーシップやファンクラブは一部ストック性あり
開示区分動画コンテンツ関連事業の単一セグメント。売上高のみ5領域で開示

ようか | 笑顔

グッズが7割!?

みんなアクスタとか買いまくってるんだな!!

やよい | 微笑み

そのとおりじゃ。

海外向けの NIJISANJI EN も伸びておっての、

いまは国内と海外を分けず、1つの区分でまとめて出しておる。

ゆり | 無表情

なお、この会社は連結財務諸表を作成していないのです。

子会社はありますが、重要性が乏しいとして記載が省略されています。

ですので、この記事の数値はすべて単体ベースになりますね。

2. 収益構造: 先にお金をかけて、あとで回収する

ゆり | 無表情

収益に対する企業姿勢はどうなのでしょう?

やよい | 自信あり

うむ。よい指摘じゃ。

有報には「短期的な利益の追求や現状維持にとどまることなく」と、

はっきり書いてある。

ようか | 驚き

強気じゃん!

なにをやるつもりなの?

やよい | 説明

スタジオ設備の拡充、新卒採用の強化、ユニットの企画、

それから海外の稼ぎ方を強くする、といったところじゃ。

「VTuberを文化にする」というのが会社の掲げる目標じゃな。

ゆり | 微笑み

先に人とスタジオへお金をかけて、

稼げるVTuberと商品を増やしていく、ということですね。

やよい | 説明

うむ。そうじゃな。

ただ、この会社は工場や店を持つ商売ではないゆえ、設備そのものは軽い。

そのかわり、グッズを売るほど在庫を抱えるし、人を増やすほど人件費が乗る。

今後は在庫の重さをうまくさばけるかを見ていく必要があるな。

3. 前期からの変化: 伸びた中身と、そこで生まれた費用

売上と利益:増えた128億円の8割はどこから来たのか

ようか | 笑顔

去年と比べて、売上とか利益はどうだったんだ?

確か冒頭に、めっちゃ伸びてるって書いてあったよな!

やよい | 説明

うむ、冒頭でも触れたが増収増益じゃ。

まずは表で見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
売上高428.76億円556.81億円
営業利益162.79億円201.72億円
営業利益率38.0%36.2%
当期純利益115.10億円140.91億円

ようか | 驚き

売上、1年で100億円以上増えてる!!

なのに利益率だけ下がってるの、なんで!?

ゆり | 無表情

順番に見ていきましょう。

まずは売上がどこで増えたのか、領域別に並べてみたのです。

領域前期当期前年差
コマース278.42億円380.92億円+102.50億円
イベント28.20億円40.87億円+12.67億円
プロモーション70.59億円78.74億円+8.15億円
ライブストリーミング50.55億円56.01億円+5.46億円
その他0.98億円0.26億円△0.72億円

ようか | 驚き

コマースだけ増え方が桁違いじゃん!

やよい | 説明

増えた 128.05億円 のうち、コマースが 102.50億円 じゃ。

80.0% がグッズやデジタル商品でな。

ようか | 笑顔

やっぱりアクスタじゃん!

やよい | 微笑み

イベントも伸びておるぞ。

「にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!」を、

2025年5月から2026年4月まで、海外を含む複数の都市で回しておった。

ゆり | 無表情

続いて利益率なのです。

売上原価の中身を並べてみました。

項目前期当期前年差
商品評価損0.91億円29.20億円+28.29億円
支払手数料46.73億円65.00億円+18.27億円
外注費84.78億円92.03億円+7.25億円
労務費14.06億円19.39億円+5.33億円

ようか | キョトン

ひょうかそん?

全然わからん!

やよい | 微笑み

売れ残ったグッズの値打ちが落ちたとき、帳簿の値段を下げる。

その下げた差額が費用として乗る、それが商品評価損じゃ。

ようか | キョトン

え、売れ残るとお金が減るの?

やよい | 説明

正確には、減ったことにして先に費用へ落とすのじゃ。

そしてこの増えた分 28.29億円 は、売上高の 5.1% にあたる。

利益率が下がった 1.8ポイント は、これ1つでほぼ説明がついてしまう。

ようか | 驚き

さっき言ってた「売れてるからこそ」って、これのことか!

やよい | 自信あり

そういうことじゃ。

グッズで稼ぐ会社は在庫を多く抱えるゆえ、この損とは背中合わせでな。

当期からは「棚卸資産の評価について」というリスクも新しく載っておるぞ。

ゆり | 真剣

ただ、会社は評価方法を変更したと書いているだけなのです。

変更の前後で何がどう変わったのか、影響額の内訳はどうなのか、

開示された情報からは追い切れませんでした。

現金とネットキャッシュ:借金が消えた期

ようか | 笑顔

グッズがそんなに売れてるなら、お金もめっちゃ持ってるんだろ!

やよい | あきれ顔

言い方が雑じゃな。

表で確認するのじゃ。

項目前期比較前期当期
現金及び預金158.18億円220.50億円
現金及び預金の対資産率54.3%60.4%
有利子負債0.45億円0.00億円
ネットキャッシュ157.73億円220.50億円
ネットキャッシュ比率5.4%13.7%

ようか | 驚き

借金、ゼロになってる!?

やよい | 説明

残っておった長期借入金 0.45億円 を返して、有利子負債は消えた。

総資産 365.02億円 のうち 60.4% が現金及び預金じゃ。

実質無借金と言ってよいな。

ゆり | 無表情

ネットキャッシュ比率は 5.4% から 13.7% へ上がっていますね。

ネットキャッシュが増えたから、ということですか?

やよい | 説明

それもあるが、分母のほうも動いておる。

この比率は、各期の有報を出した日の株価で時価総額を計算しておってな。

前の期の提出日は 4,750円、当期は 2,637円 じゃ。

分子が増えて分母が縮んだ、両方が効いた形じゃな。

フリーCF:投資が一巡した年

ようか | キョトン

フリーCFって、なんだっけ…

やよい | 説明

本業で稼いだ現金から、投資で出て行った現金を引いた残りじゃ。

会社が自由に使える現金と思えばよい。

まずは表じゃ。

項目前期比較前期当期
営業CF111.84億円156.78億円
投資CF△22.77億円△2.80億円
フリーCF89.07億円153.98億円

ようか | 驚き

投資のマイナス、めちゃくちゃ小さくなってる!

ゆり | 無表情

要因をまとめてみました。

要因内容
営業CFの主因税引前当期純利益の増加(162.14 → 201.97億円、+39.83億円)
営業CFの補助要因売上債権が前期の8.42億円増加から当期は6.21億円減少に転じ、+14.63億円 の改善
営業CFの相殺要因仕入債務が減少に転じて △13.79億円、法人税等の支払額が △40.59 → △53.60億円
投資CFの主因有形固定資産の取得が △21.50 → △2.05億円 へ縮小

ようか | キョトン

一番下の、投資で出ていくお金がすごく減ってるの、なんで!?

やよい | 自信あり

前の期は江東区のスタジオ設備に投資が集中しておってな。

当期はそれが一巡した年じゃ。

当期の設備投資は総額 3.54億円 で、

中身は情報機器や金型、スタジオの機材と書かれておる。

ゆり | 微笑み

売上が伸びても、設備への投資はそれほど増えない商売、ということですか?

やよい | 微笑み

うむ、そういうことじゃな。

減価償却費は売上の 1% にも届かぬ。

そのかわり、伸びるほど在庫と人件費が増える。

当期はフリーCFが営業CFの 98.2% で、稼いだ現金がほぼそのまま残っておるぞ。

ゆり | 無表情

なお、スタジオの新設計画が総額 27億円 規模で、

2026年度から2027年度に予定されているのです。

資金は自己資金でまかなうと開示されています。

4. 当期の注目ポイント: 数字の焦点

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢

ゆり | 微笑み

まとめてみました


▶ 売上高は前期比 +29.9%(428.76 → 556.81億円)で5期連続の増収。増えた 128.05億円 のうち 102.50億円、割合にして 80.0% がコマース領域なのです。

▶ 営業利益は +23.9%(162.79 → 201.72億円)ですが、営業利益率は 38.0% → 36.2% へ低下したのです。主因は売上原価の商品評価損が 0.91 → 29.20億円 に増えたことなのです。

▶ 当期純利益は +22.4%(115.10 → 140.91億円)で、こちらも5期連続の増益なのです。

▶ 手元資金は +39.4%(158.18 → 220.50億円)。有利子負債は 0.45億円 → 0円 になり、ネットキャッシュは 220.50億円 なのです。

▶ フリーCFは +72.9%(89.07 → 153.98億円)。営業CFの増加 +44.94億円 と、スタジオ投資の一巡による投資CFの改善 +19.97億円 が重なったのです。

▶ 株主還元は配当 41.23億円 と自己株式取得 50.09億円 の合計 91.32億円。当期純利益の 64.8% にあたるのです。

5. 5年推移の財務諸表まとめ: 5期連続で増収増益

ようか | 笑顔

前期との違いは分かったけど、ちょっと長いスパンで見るとどうなんだ!?

やよい | 自信あり

うむ、まずは稼ぐ力を見て行こう。


項目2022/4期2023/4期2024/4期2025/4期2026/4期
売上高142253320429557
当期純利益286787115141
営業利益4294124163202
営業利益率29.6%37.1%38.6%38.0%36.2%

やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?

ようか | 驚き

全部きれいに増えてる!!

売上、4倍くらいになってない!?

やよい | 自信あり

5期で売上は 3.93倍、当期純利益は 5.04倍 じゃ。

減った年が1度も無いというのは、なかなか珍しいぞ。

ゆり | 無表情

伸びがいちばん大きいのは2023/4期で、売上高が +78.9% なのです。

何が増えたのか、並べてみました。

項目2022/4期2023/4期
NIJISANJI EN(海外)11.27億円64.04億円
コマース領域(国内)66.38億円98.17億円

ようか | 驚き

海外の伸びかた、えげつないじゃん!

やよい | 説明

この2つで、増えた 111.78億円 のうち約 76% が説明できる。

利益率のほうは2024/4期の 38.6% が5期で最も高くての、

そこから2期続けて下がっておる。

とはいえ2022/4期の 29.6% と比べれば、まだ高い位置じゃ。

ようか | キョトン

なんで最初の年だけ低かったの?

やよい | 説明

売上が1.79倍になる間、販管費は1.21倍しか増えなんだ。

先に用意した固定費を、増えた売上が一気に回収した形じゃ。

売上総利益率も 42.2% → 45.7% へ上がっておる。

ようか | 笑顔

ほー、そういうことか!

やよい | 自信あり

次にキャッシュの流れを追っていくぞ。


項目2022/4期2023/4期2024/4期2025/4期2026/4期
現金及び預金59125163158221
現金及び預金の対資産率62.7%67.6%65.0%54.3%60.4%
ネットキャッシュ53122161158221
ネットキャッシュ比率2.9%11.1%10.1%5.4%13.7%
フリーCF27666289154

ようか | 驚き

フリーCF、当期だけ一気に増えてる!

ネットキャッシュもマイナスの年が無いじゃん!

やよい | 説明

フリーCFは5期とも黒字で、マイナスの年は1度も無い。

唯一、前の期より減ったのが2024/4期じゃ。

法人税等の支払いが 15.99 → 36.49億円 へ増えて、

営業CFがほとんど伸びなかったのでな。

ゆり | 無表情

現金が減った期も、1度だけあるのです。

2025/4期は営業CFが 111.84億円 と、当時としては最も大きかったのです。

それでも現金は 4.72億円 減っています。

ようか | キョトン

稼いでるのに減るって、どういうこと!?

ゆり | 無表情

同じ年の大きな支出を並べてみました。

2025/4期の主な支出金額
自己株式取得75.11億円
配当19.70億円
スタジオ投資21.50億円

やよい | 説明

稼いだ額より出ていく額が多かった、それだけのことじゃな。

ゆり | 無表情

ネットキャッシュ比率は、直近では2025/4期の 5.4% がいちばん低いですね。

現金が減ったから、ということですか?

やよい | 説明

そういう理解の仕方もあるが、本質的には分母の動きのほうが大きい。

2025/4期は提出日時点の時価総額が約 2,900億円 と、5期でいちばん大きくての。

分母がふくらんだ分だけ、比率が下がったのじゃ。

ゆり | 微笑み

さらに詳細に知りたい人向けに、財務諸表をまとめたので、

必要な方は以下を見るといいのです。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022/4期2023/4期2024/4期2025/4期2026/4期
現金及び預金59125163158221
流動資産85176236256321
有形固定資産2252321
総資産94185251291365
流動負債2751537295
固定負債320
純資産63133197220270
自己資本比率67.5%71.8%78.6%75.4%73.9%

▼ PL(損益計算書)

項目2022/4期2023/4期2024/4期2025/4期2026/4期
売上高142253320429557
売上原価82138168228308
売上総利益60116152201249
営業利益4294124163202
当期純利益286787115141

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022/4期2023/4期2024/4期2025/4期2026/4期
営業CF27.267.269.0111.8156.8
投資CF△0.4△1.0△6.6△22.8△2.8
財務CF△4.60.0△24.4△93.8△91.7
フリーCF26.866.262.589.1154.0
現金増減22.366.238.1△4.762.3

(単体・日本基準、単位は億円。連結財務諸表を作成していないため、純利益は「親会社株主に帰属する当期純利益」ではなく当期純利益。2025/4期・2026/4期の固定負債は長期借入金の完済により残高が無く「-」表記。現金増減は現金及び現金同等物の増減額を指す)

6. 指標まとめ: 来期に答えが出る問い

やよい | 自信あり

ここまでを大まかにまとめよう。

…と言いたいところじゃが、ようか、最後にまとめるのじゃ。

ようか | 自信あり

任された!

売上は5年で約4倍、利益は5倍!しかも1回も減ってない!

借金はゼロになって、現金は220億円も貯まってる!

やよい | 微笑み

うむ、よく見ておったな。

ようか | 笑顔

配当も自己株買いも両方やってて、稼いだ利益の6割以上を株主に返してる!

グッズの売れ残りで損は出たけど、それでも過去最高の利益だ!

にじさんじ、これからどこまで大きくなるか楽しみだな!

やよい | 説明

よい締めじゃ。

その楽しみの中身を、もう少し細かく分けておこう。

  • 商品評価損 29.20億円 は当期限りなのか? → 会社は評価方法を変更したとしか書いておらぬ。来期も同じ規模で出るなら、利益率の低下は一時的ではないということじゃ。
  • コマース頼みの成長はどこまで続くのか? → 増収の 80.0% が1つの領域から来ておる。伸びが鈍ったとき、他の領域が受けられるかが見どころじゃ。
  • 在庫の増え方は売上の伸びに見合っているのか? → 売れ残りが評価損になる商売での、ここは毎期見ておく価値がある。
  • 27億円のスタジオ投資は、フリーCFをどこまで削るのか? → 2026年度から2027年度の予定じゃ。当期はフリーCFが営業CFの 98.2% も残ったが、この水準は続かぬ可能性がある。

ゆり | 微笑み

さらなる分析用は下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年4月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPEREBITDAROICあたりを、財務健全性は流動比率EBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率ネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER11.31倍時価総額 1,593.00億円 ÷ 当期純利益 140.91億円。自己株式1,177,106株を控除したベースでは約11.09倍
現金比率60.41%現金及び預金 220.50億円 ÷ 総資産 365.02億円
流動比率336.5%流動資産 320.98億円 ÷ 流動負債 95.39億円。短期の支払い余力
ネットキャッシュ220.50億円現金及び預金 220.50億円 − 有利子負債 0.00億円。有価証券は抽出した財務データに該当科目の行が無いため0円として扱っています
ネットキャッシュ比率13.84%ネットキャッシュ ÷ 時価総額(記事作成時点の参考株価ベース)。1倍には遠い水準
EBITDA207.19億円営業利益 201.72億円 + 減価償却費及びその他の償却費 5.47億円。本業の資金創出の目安
EBITDA/自己資本76.84%EBITDA ÷ 自己資本 269.63億円
EBITDA/利息算定不能支払利息が実質ゼロのため除算できない。利払い負担は事実上なし
ROIC52.37%営業利益×0.7 ÷(自己資本+借入金)。投下資本に対する本業の稼ぎ

参考として、ROE(会社開示)は57.60%、自己資本比率(会社開示)は73.87%、営業CFマージンは28.2%。

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!

  • 動画配信プラットフォームへの依存: 他社が運営するプラットフォームの規約違反による契約終了や、プラットフォーム自体の価値低下が事業に影響しうる。会社は「収益全体に占める動画配信ビジネスの比率は過度に高い状況にはない」と説明(ライブストリーミング領域の売上構成比は2023/4期20.0%→当期10.1%)。
  • 人気VTuberへの依存: 当期売上高のうち約30%がTOP10、約50%がTOP25のVTuberによる収益と開示。会社は特定VTuberへの依存は低いと説明。
  • 動画内容のレピュテーション: 配信内容に不適切なものが含まれた場合のブランド毀損。
  • 棚卸資産の評価について(当期新設): 消費者ニーズの変化やVTuberの卒業等により棚卸資産の収益性が低下するリスク。当期の商品評価損は29.20億円(前期0.91億円)で、開示上のリスクと実績が一致している。当期に棚卸資産の評価方法を変更した旨も記載。
  • 上記の重要リスクには、いずれも「顕在化のリスクは高くないと認識」と会社が付記している。
  • 5期で削除されたリスク: 新型コロナウイルス感染症の感染拡大、社歴が浅いこと、新株予約権の行使による株式価値の希薄化・資金使途(いずれも2022/4期にはあり)。上場直後特有の記述が整理され、代わりに在庫リスクが入った形。
  • 「優先的に対処すべき財務上の課題はございません」と明記されている。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目数値補足
発行済株式総数61,128,029株2026年4月30日現在。提出日現在も同数
自己株式数(自己保有割合)1,177,106株(1.93%)2026年1月21日の取締役会決議(枠1,250,000株・50億円)に基づき当期に1,177,100株・49.99億円を取得。期末時点で保有継続
1株当たり年間配当75円中間35.0円(21.38億円)+期末40.0円(23.98億円)。配当総額45.36億円
配当利回り2.88%参考株価 2,606円 ベース
配当性向(会社開示)32.38%前期は34.47%。連結財務諸表がないため単体ベース
配当方針配当性向30%以上「安定的かつ継続的に実施」と記載。自己株式取得は株価の動向等を勘案して機動的に実施
配当の推移無配 → 65円 → 75円2024/4期までは無配。2025/4期が初配当
自己株式取得の推移25.10 → 75.11 → 50.09億円3期連続。2024/4期取得分と2025/4期取得分は消却されたとみられるが、開示に明示は無く、自己株式残高と利益剰余金の動きから推し量った推定
株主還元合計(CFベース)91.32億円配当41.23億円+自己株式取得50.09億円。当期純利益140.91億円の64.8%
ストック型収益に対する配当の位置づけ該当なし収益はフロー型中心。フロー型と見た領域の当期売上高500.79億円に対する配当総額の割合は9.06%、営業利益比では22.5%
1株当たり指標(会社開示)EPS 231.61円 / BPS 449.75円5期の推移はEPS 46.64→110.78→139.63→188.57→231.61円

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は本記事を作成した時点の値(2,606円、2026-08-03 終値)を使用しています。

この会社は連結財務諸表を作成していないため、本記事の財務数値はすべて単体(個別)ベースです。非連結子会社1社と持分法を適用していない関連会社1社がありますが、重要性が乏しいとして記載が省略されています。連結子会社を持つ会社と横に並べて比較する際は、この点にご注意ください。連結がないため「親会社株主に帰属する当期純利益」は存在せず、当期純利益を使っています。

時価総額・PER・配当利回り・指標まとめのネットキャッシュ比率は参考株価を前提とした参考値で、時価総額の計算では自己株式を控除していません。

5年推移表・前期比較表のネットキャッシュ比率は、各期の有価証券報告書の提出日終値と、当時の発行済株式総数から算出した各期の時価総額に基づく参考値です。当期の指標まとめ(記事作成時点の参考株価基準、13.84%)とは算出基準が異なるため、値がずれています。

2022年1月5日付で1株→15株、2023年8月1日付で1株→2株の株式分割を実施しています。5年推移表の2022/4期・2023/4期は当時の株価と当時の株式数を組み合わせているため各期の中では整合していますが、分割後の期と株価や1株当たりの数値を単純に比べることはできません。

領域別売上高の開示区分が2024/4期から変更されています(国内4領域+NIJISANJI EN+その他 → 国内・海外を統合した4領域+その他)。2022/4期・2023/4期の内訳と当期の内訳は接続できません。

表示単位が2025/4期から千円単位→百万円単位に変更されています(過年度も遡及表示)。本記事は億円換算のため実質的な影響はありません。

抽出できた開示情報には経営成績の増減説明(MD&A)の本文が含まれていないため、営業CF・投資CFの変動要因などは、キャッシュ・フローや財務諸表の明細から推し量った推定を含みます。会社の説明にもとづく記述と推定は、本文中で区別して記載しています。

棚卸資産の評価方法の変更について、変更前後の方法や影響額の内訳は、抽出できた開示情報には含まれていません。

セグメントは動画コンテンツ関連事業の単一セグメントで、領域別は売上高のみの開示です。領域別の利益や資産は開示されていないため記載していません。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第9期、2026年7月27日提出)をもとに作成した情報整理記事です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。