決算分析

株式会社アイティフォー
第67期 有報分析

公開日: 2026/07/19

売上最高・現金急増、でも利益率は微減 | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目
前提記事作成時点の参考株価による参考値
株価1,588円
発行済株式総数27,911,900株
時価総額443.2億円

売上は最高、財布は急増、なのに利益率だけ下がった ―― アイティフォー2026年3月期

提出日:2026-06-12 / 会計期:2026年3月期

項目前期当期前期比
売上高205.5億円231.0億円+12.4%
ネットキャッシュ59.7億円90.1億円+51.0%

ようか | 笑顔

アイティフォー、売上過去最高で、現金もネットキャッシュもドカンと増えた!!

完璧な決算じゃん!


やよい | あきれ顔

まあ、よい決算ではある。


ようか | キョトン

あれ、何かあるの?


やよい | 自信あり

当期はよかったが今後が気になる、というところじゃの。

では、順に見ていこう。


目次

  • 会社概要
  • 収益構造
  • 前期からの変化
  • 当期の注目ポイント
  • 5年推移の財務諸表まとめ
  • 指標まとめ

1. 会社概要: 金融機関向けITとBPOの会社 !?

ようか | 笑顔

アイティフォーかぁ、ITの会社だっけー?

やよい | あきれ顔

名前から推測したじゃろ…

ようか | 笑顔

バレたか!!

やよい姉!解説よろしく!!

やよい | 自信あり

詳細な事業内容はソフトの設計・開発・保守と、まさにIT企業じゃ。

得意領域は地方銀行を中心とした金融機関向けと、地方自治体向けのシステムじゃな。

ゆり | 無表情

まとめたのです

項目内容
主力商品金融機関・自治体向けシステム、CTIシステム
その他商品流通EC、通信、キャッシュレス決済
収益形態システム開発・販売+保守
開示区分システム開発・販売/リカーリングの区分で開示

ようか | キョトン

CTIシステムってなに?

ゆり | 無表情

CTIは Computer Telephony Integration(コンピュータと電話の統合) の略で、

すごく単純化すると、コールセンター向けのシステムのようです。

ようか | キョトン

窓口的なやつのDX化か

やよい | 説明

うむ。

そういったものを開発・販売で作って、その後の保守で継続的に稼ぐ。

この二段構えが収益の柱になっておる。

ようか | キョトン

売って終わりじゃなくて、その後もちょっとずつもらえるってこと?

やよい | あきれ顔

そうじゃ。一度入れたシステムは長く使われるからの。

ゆり | 無表情

開発と保守、二つの収益でまわす会社です。

地方の金融機関と自治体が得意先です。

2. 収益構造: ストック要素を含む稼ぎ方 !?

ゆり | 無表情

この会社は、収益をどう伸ばそうとしているのでしょう。

やよい | 説明

よい問いじゃ。

報告書では、保守・運用・クラウド・BPOといった継続課金の領域が明示されておる。

売って終わりではなく、その後も継続的に稼ぐ姿勢が読み取れるのじゃ。

当期の投資CFは -16.2億円 で、成長のための投資も続けておる。

ゆり | 無表情

開発で入れて、リカーリングで継続的に積み上げる姿勢、ですね。

ようか | 笑顔

BPO…に

リカーリング…

ようか | 笑顔

全然わからん!

ゆり | 無表情

まとめたのです

用語意味
BPO(Business Process Outsourcing)企業の業務プロセスを丸ごと外部に委託する形態。例えば、金融機関の督促業務や書類処理を請け負うなど。アイティフォーは督促・債権管理システムをBPOとして提供する
リカーリング製品を一度売り切るのではなく、保守・クラウド利用料・サポート料として毎期継続的に収入を得るビジネスモデル。景気に左右されにくく、収益が安定しやすい

ようか | キョトン

業務プロセスの受託ビジネス、サービスの保守ビジネスかな…?

やよい | 自信あり

うむ。

まぁ、いわゆるIT企業の柱じゃな。

売上や利益率の動きは後で見るとしよう。

3. 前期からの変化: 売上最高、手元資金が急増 !?

売上高と営業利益: 冒頭の「利益率」の話

ようか | 笑顔

まずは売上と営業利益どうなったー?

確か増えてたよなー!

やよい | あきれ顔

冒頭にもあったが、売上高も営業利益も増えておるぞ。

項目前期比較前期当期
売上高205.5億円231.0億円
営業利益35.3億円38.6億円
営業利益率17.2%16.7%

ゆり | 無表情

売上は伸びましたが、利益率はわずかに低下してるのです。

売上総利益率が小幅に下がり、販管費が増えたのです。

項目前期比較前期当期
売上総利益率38.3%38.1%
販管費43.4億円49.3億円

ようか | キョトン

販管費、結構上がってるな

ゆり | 無表情

有報には「オフィス環境改善の販管費増加分を、

売上総利益率の低下でカバーできなかった」と説明されているのです。

やよい | あきれ顔

中計の営業利益目標41億円に対して

達成率 94.1% の未達じゃな。

ゆり | 無表情

売上の中身も、金融機関・自治体・CTIは増収の一方、

流通EC・通信・決済は減収だったのです。

粗利率低下の要因の詳細までは、開示情報からは追い切れませんが。

ようか | 自信あり

あ、これが今後の動きが注目ポイントってやつかー!

やよい | 説明

そういうことじゃ。売上が増えても、

原価と販管費がそれ以上に増えれば、利益率は下がる。

ここは来期以降の見どころとして覚えておくのじゃ。

現金及び預金とネットキャッシュ: ここが今期の主役

ようか | 驚き

手元のお金はどうなった!?

利益は出てるから増えてたら安心なんだけどー!

やよい | 自信あり

ここが今期いちばんの見どころじゃ。

現金もネットキャッシュも、ぐっと積み上がっておる。

項目前期比較前期当期
現金及び預金50.4億円78.1億円
現金及び預金の対資産率21.0%27.8%
ネットキャッシュ59.7億円90.1億円

ゆり | 無表情

有利子負債はほぼ確認できず、実質的なネットキャッシュ経営なのです。

やよい | 説明

当期はネットキャッシュが +51.0%90.1億円 まで増えておるな。

ゆり | 無表情

借入に頼らず手元資金を厚くした一年なのです。

フリーCF: こちらも大きく戻した

ようか | 笑顔

フリーCFってやつはー?

やよい | 自信あり

うむ、大きく戻したのじゃ。

項目前期比較前期当期
フリーCF1.0億円14.7億円

ゆり | 微笑み

回復の主因は営業CFの増加ですか?

やよい | 説明

それもあるが、投資の支出が減ったのも大きかったのう。

ただ、営業利益率が下がった分だけ、少し足を引っ張られておるな。

項目前期比較前期当期
営業CF26.1億円30.9億円
投資CF-25.1億円-16.2億円

ようか | 笑顔

改善してるならいい傾向だな!

4. 当期の注目ポイント: 増収と現金の積み増し !?

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~(泣き顔)

ゆり | 微笑み

まとめてみました


▶ 売上高は前期比で +12.4% と増加。

▶ 営業利益は +9.2%(38.6億円) に。ただし営業利益率は 16.7% へ小幅低下。

▶ 手元資金(現金及び預金)は +55.0%78.1億円 まで増加。

▶ フリーCFは 1.0億円 から 14.7億円 へ大きく回復。主因は営業CFの増加と投資支出の縮小なのです。

▶ ネットキャッシュは 90.1億円 で、対時価総額比率は 20.3%。実質ネットキャッシュ経営が続いているのです。

5. 5年推移の財務諸表まとめ: 稼ぐ力とキャッシュの厚み !?

ようか | 驚き

前期との違いは分かったけど、もっと長いスパンで見るとどうなんだ!?

やよい | 説明

うむ、まずは稼ぐ力から見ていこう。


項目5年前4年前3年前2年前当期
売上高170億円183億円207億円206億円231億円
当期純利益21億円23億円28億円29億円28億円
営業利益30億円32億円37億円35億円39億円
営業利益率17.8%17.6%18.1%17.2%16.7%

やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?

ようか | 自信あり

売上がずっと増えてるから、まだまだ伸びるな!

ゆり | 悲しい

売上は伸びても利益率がじわじわ下がっておるのが気になるのです

ようか | 驚き

確かに!!

やよい | あきれ顔

売上は伸びておるが

厳しく見ると利益はここ数年、横ばいレベルじゃぞ。

販管費や原価の動きをきっちり見る必要があるな。

やよい | 説明

次はキャッシュの流れを追っていくぞ。


項目5年前4年前3年前2年前当期
現金及び預金36.4億円36.0億円43.6億円50.4億円78.1億円
現金及び預金の対資産率18.2%16.6%18.2%21.0%27.8%
ネットキャッシュ40.6億円40.3億円53.1億円59.7億円90.1億円
ネットキャッシュ比率18.0%12.8%13.4%14.0%20.0%
フリーCF24.6億円9.6億円23.3億円1.0億円14.7億円

ゆり | 無表情

フリーCFは年によって振れますが、ネットキャッシュは5年で右肩上がり、ということですか?

やよい | 自信あり

うむ。フリーCFは投資のタイミングで上下するが、手元の余力は着実に厚くなっておる。

時価総額に対するネットキャッシュ比率も、

株価が上がる中で4年前に 12.8% まで下がった後、

当期は 20.0% まで戻しておるのじゃ。

ゆり | 微笑み

なるほど。利益率は気になりますが、

財務の余力は年々増しているのですね。

さらに詳しく知りたい方は、以下に財務諸表をまとめたので見てみてください。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目5年前4年前3年前2年前当期
現金及び預金36.4億円36.0億円43.6億円50.4億円78.1億円
流動資産162.6億円176.8億円195.0億円184.6億円200.8億円
有形固定資産6.2億円9.0億円8.3億円9.0億円10.7億円
総資産200.1億円216.7億円240.0億円239.5億円280.7億円
流動負債41.7億円42.4億円48.8億円45.1億円60.8億円
固定負債2.3億円2.6億円2.8億円4.0億円8.4億円
純資産156.1億円171.7億円188.4億円190.4億円211.5億円
自己資本比率75.8%77.2%74.5%75.7%69.3%

▼ PL(損益計算書)

項目5年前4年前3年前2年前当期
売上高170.2億円183.2億円206.5億円205.5億円231.0億円
売上原価108.6億円115.9億円129.0億円126.8億円143.1億円
売上総利益61.6億円67.3億円77.5億円78.7億円87.9億円
営業利益30.3億円32.2億円37.4億円35.3億円38.6億円
親会社帰属純利益21.1億円22.9億円27.7億円29.1億円27.6億円

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目5年前4年前3年前2年前当期
営業CF28.1億円17.1億円28.4億円26.1億円30.9億円
投資CF-3.5億円-7.6億円-5.0億円-25.1億円-16.2億円
財務CF-5.4億円-7.4億円-16.2億円-26.7億円-15.0億円
フリーCF24.6億円9.6億円23.3億円1.0億円14.7億円
現金増減19.1億円2.1億円7.1億円-25.7億円-0.2億円

6. 指標まとめ: 稼ぐ力と財布の厚み !?

やよい | 説明

ここまでを大まかにまとめよう。

ようか、最後にまとめるのじゃ。

ようか | 笑顔

手元資金がどんどん厚くなってて、しかも配当もちゃんと出す会社なんだな!

ゆり | 無表情

さらに細かい指標は、下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPERやEBITDAやROICあたりを、財務健全性は流動比率やEBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率やネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER16.1倍参考株価1588円 ÷ EPS98.8円(親会社帰属27.6億円基準)の参考値
現金比率27.8%総資産に対する手元資金
流動比率330.4%流動資産200.8億円 ÷ 流動負債60.8億円
短期返済比率該当なし有利子負債が確認できず実質ネットキャッシュ
ネットキャッシュ90.1億円現金及び預金+有価証券等。有利子負債ほぼなし
ネットキャッシュ比率20.3%ネットキャッシュ ÷ 時価総額443.2億円の参考値
EBITDA42.9億円営業利益+減価償却費
EBITDA/自己資本22.1%収益力と資本の比較の参考値
EBITDA/利息1211.5倍支払利息354万円に対する参考値
ROIC13.9%投下資本利益率の参考値

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!

  • 取引先のIT投資計画: 地方銀行や地方百貨店など主要顧客の業績やIT投資が縮むと、当社業績が影響を受ける。
  • キャッシュレス決済事業: 決済端末の導入先の経営状況、半導体市場の動向、競合激化により事業拡大が進まない可能性。
  • 事業環境の変化: クラウド化やハードからソフトへの流れで、ビジネスモデルの変革を迫られている。
  • 外部環境: 為替変動、資源・エネルギー価格、物価上昇、個人消費の減速懸念。
  • 労働力: 少子高齢化・人口減少に伴う労働者人口の減少と生産性向上の課題。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目
発行済株式総数27,911,900株
自己保有株式995,100株(3.56%)
1株当たり年間配当80円(中間30円+期末50円)
配当利回り5.04%(参考株価1588円ベース)
配当性向76.7%(会社開示)

連結配当性向50%目標、総還元性向70%以上、累進配当方針を明示しているのです。

補足

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第67期、2026年6月12日提出)をもとに作成した情報整理記事です。

株価は本記事を作成した時点での参考株価(1588円)を使用しており、PER・PBR・時価総額・配当利回り・ネットキャッシュ比率はこの前提の参考値です。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります。

純利益は5年推移・財務諸表とも親会社株主に帰属する当期純利益(当期27.6億円)で統一して記載しています。

5年推移表のネットキャッシュ比率は、各期の有価証券報告書提出日の終値と当時の発行済株式総数から算出した各期の時価総額に基づく参考値です。指標まとめのネットキャッシュ比率20.3%は記事作成時点の参考株価によるもので、5年推移表の当期値20.0%(提出日終値1614円基準)とは算出基準が異なります。

特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。