決算分析

積水化学工業株式会社
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/06/27

売上は過去最高、でも利益と財布は逆向きに動いた | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目
株価2460.5円
発行済株式総数405,507,285株
時価総額9,977.5億円

売上は過去最高、なのに財布は薄くなった ―― 積水化学2026年3月期


ようか | 笑顔

項目前期当期前期比
売上高12,978億円13,093億円+0.9%

おっ、積水化学、売上が過去最高じゃん!


やよい | あきれ顔

売上以外も見るのじゃ。

項目前期当期前期比
現金及び預金1,426億円972億円△31.8%
ネットキャッシュ+318億円-476億円

ようか | 驚き

え、待って!?

売上は最高なのに、手元の現金が3割も減ってるの!?


やよい | 自信あり

そうじゃ。

しかもネットキャッシュは、プラスからマイナスへひっくり返っておる。

それを、これからゆっくり追っていくぞ。

目次

  • 会社概要: 稼ぎ方をひと目で確認
  • 収益構造: 利益アップへ伸ばす姿勢
  • 前期からの変化: 直近の動き
  • 当期の注目ポイント: 数字の焦点
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 山谷を確認
  • 指標まとめ: 稼ぐ力と安全性
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 稼ぎ方をひと目で確認

ようか | 笑顔

積水化学かぁ、化学系の会社だな!


ゆり | 無表情

会社名で誰でも分かるのです


やよい | あきれ顔

仕方ないやつじゃな。

積水化学は、5つの事業を束ねた化学メーカーじゃ。

住宅、塩ビ管などのインフラ、自動車向けの素材、検査薬のメディカル。

柱がいくつもあるのが特徴じゃのう。

ちなみに、有名な積水ハウスは元は積水化学から分社化したもの

セキスイハイムは名前は似ておるが積水化学に属しておるぞ。


ゆり | 無表情

まとめてみたのです。

区分内容
主力事業高機能プラスチックス事業、住宅事業
周辺事業環境・ライフライン事業、メディカル事業、その他事業
収益形態5セグメントごとに収益を積み上げる複合構造
開示区分「住宅」「環境・ライフライン」「高機能プラスチックス」「メディカル」「その他」

ようか | 笑顔

住宅も素材も検査薬も、

いろいろやってて複雑!


やよい | 説明

化学分野は多岐に渡るのじゃ。

住宅は受注して建てるフロー型、素材やメディカルは付加価値の高い領域じゃ。

海外子会社64社 のグローバル展開も効いておる。


ゆり | 微笑み

事業ごとに、稼ぎ方も必要な投資も違うのです。

2. 収益構造: 利益アップへ伸ばす姿勢

ゆり | 真剣

収益に対する会社の姿勢は、どうですか?


やよい | 説明

よい問いじゃ。

ひとことで言えば「成長投資を本格化」じゃな。

報告書では中期計画「Accelerate 2028」を掲げ、設備投資をはっきり増やす局面に入っておる。


ゆり | 無表情

どういった投資に力を入れているのですか?


やよい | 説明

特に利益率の高い素材やメディカルへ寄せておるようじゃな。


ゆり | 無表情

増やした設備投資が利益とキャッシュにどう返ってくるか、が重要ですね

3. 前期からの変化: 直近の動き

3-1. 売上は最高でも、利益は後退

ようか | キョトン

去年と比べて、儲けは増えたの? 減ったの?


やよい | 説明

数字上では、売上が微増、営業利益がわずかに減益じゃ。

しかし、率で見ると、ほぼ前期と変わらずじゃな。 

利益は、減損損失が膨らんで最終利益は減った。

項目前期当期前期比較
売上高12,978億円13,093億円
営業利益1,080億円1,065億円
営業利益率8.32%8.13%
親会社純利益819億円752億円

ようか | キョトン

減損損失?


ゆり | 無表情

減損損失 233億円で計上されているのです

報告書には岩手県久慈市のバイオリファイナリープラントの撤収、

メディカル事業の収益性低下などが書いてありました。


やよい | 説明

バイオリファイナリープラントとは

微生物を活用して可燃ごみをエタノールに変換する技術じゃが、

実用化の目処は立ったものの商用化は一旦見送り、プラントを撤収することにしたそうじゃ。

ここが減損の一番の理由で149.5億円の減損となっておる


ゆり | 無表情

経常利益は増益(+63億)だったのに最終利益が減益(△67.5億)になったのです


ようか | 驚き

マジか!?

3-2. 現金が減り、ネットキャッシュは反転

ようか | 驚き

次は財布の話を聞きたい!

冒頭に出てきたけど現金はどうして減ったの!?


やよい | 説明

設備投資と株主還元を積極的に行い、借入と社債も増やしたからじゃ。

現金が減り、ネットキャッシュはマイナスへ振れた。

項目前期当期前期比較
現金及び預金1,426億円972億円
現金の対資産率10.71%6.81%
有利子負債1,108億円1,448億円
ネットキャッシュ+318億円△476億円
ネットキャッシュ比率2.90%△4.77%

ようか | 泣きつく

いろいろマイナスだー!


ゆり | 真剣

一応補足として政策保有の有価証券を入れると、実質はまだプラス圏なのです。

投資有価証券と違い売却することはあまりないので計算上入れてないですが。


やよい | 説明

化学分野の企業なので研究開発や生産設備で借入は当然じゃが、

財布だけの数字は前期比だけで見ると少し心配じゃな

3-3. フリーCFはなぜ縮んだのか

ようか | 泣きつく

次はフリーCF!

どうだったんだー!?


やよい | 説明

前期 +577億円 と比べ、当期は +92億円 まで縮んだ。

営業CFが減り、設備投資が増えた。両方が効いたのじゃ。

項目前期当期前期比較
営業CF1,192億円783億円
投資CF△615億円△691億円
フリーCF+577億円+92億円

中身を分けるとこうなる。

  • 営業CF: 仕入債務の減少と棚卸資産の積み増しで、運転資金が悪化(主因)
  • 投資CF: 設備投資が 581億円→1,008億円 へ拡大(主因)
  • 相殺: 定期預金の払戻が増え、投資CFの悪化を少し和らげた

ようか | キョトン

前期比だとやっぱ見劣るな…


ゆり | 無表情

当期は、投資負担がはっきり出た年なのです。


やよい | 説明

しかし、売上を伸ばすには、設備投資も増える事業じゃから

投資なしで稼ぎが増える構造ではない

ここの投資が次期へどう響くか、見ものじゃな。

4. 当期の注目ポイント

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~、わたしにも分かるようにまとめて~


ゆり | 笑顔

まとめてみたのですよ(ヨシヨシ


▶ 売上高は前期比 +0.9% の微増。営業利益率は 8.13% と高水準を維持です。

▶ 手元の現金及び預金は前期比 △31.8% と減少です。

▶ フリーCFは前期比 △84.1% と大きく縮みました。

▶ 縮んだ主因は、設備投資の拡大と運転資金の悪化です。

▶ ネットキャッシュは △476億円 でマイナス圏。ただし保有有価証券を含めればプラス圏です。


5. 5年推移の財務諸表まとめ: 山谷を確認

ようか | キョトン

前期との違いは分かったけど

もっと長いスパンで見ると?


やよい | 説明

うむ、まずは稼ぐ力からじゃ。


項目5年前4年前3年前2年前当期
売上高11,57912,42512,56512,97813,093
当期純利益371693779819752
営業利益8899179441,0801,065
営業利益率7.687.387.518.328.13

やよい | 自信あり

ようか、ここから何を見る?


ようか | 笑顔

売上がずっと右肩上がり!


やよい | 説明

そうじゃな。

売上は5期で着実に積み上がった。

営業利益率も7%台から8%台へ上がっておる。


ゆり | 無表情

ここだけ見ると順調そうです

当期純利益も減損が無ければ伸びています


ようか | 笑顔

そうじゃん!


やよい | あきれ顔

そう単純ではないぞ。

確かに売上は伸びておるが、減損影響のない営業利益は伸び悩んでいるとも見える。


ようか | キョトン

ふむふむ


やよい | 説明

また、売上や利益を伸ばすには、積極投資をしていかなければならぬが

すべての投資がうまくいくことはない。

そこは押さえておくのじゃ。


やよい | 説明

次はキャッシュの流れを見るじゃ。


項目5年前4年前3年前2年前当期
現金及び預金1,4451,0111,3861,426972
現金の対資産率12.068.2310.4710.716.81
ネットキャッシュ+220-194+178+318-476
ネットキャッシュ比率1.89-1.731.622.90-4.77
フリーCF+1,077+121+881+577+92

ゆり | 無表情

フリーCFは5期すべてプラスです。


ようか | キョトン

でも、デコボコだな


やよい | 説明

うむ。

稼いだ現金を、どれぐらい投資や還元へ回すのか

へこんでいる年は積極的に攻めた結果ともいえるの。


ゆり | 微笑み

なるほど。理解できました。

詳しく知りたい方は、下を開いてみるのです

▼ 財務諸表を見る

ゆり

財務諸表の推移をまとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目5年前4年前3年前2年前当期
現金及び預金1,4451,0111,3861,426972
流動資産6,3986,5206,9447,0317,217
有形固定資産3,5453,7193,9144,0394,626
総資産11,98912,28113,23213,30814,279
流動負債3,3723,3003,6323,4003,886
固定負債1,5901,6561,3921,5541,582
純資産7,0287,3258,2098,3548,811
自己資本比率56.2757.4159.8860.6759.61

▼ PL(損益計算書)

項目5年前4年前3年前2年前当期
売上高11,57912,42512,56512,97813,093
売上原価8,1218,6728,7068,7718,851
売上総利益3,4583,7533,8594,2064,242
営業利益8899179441,0801,065
親会社帰属純利益371693779819752

▼ CF(キャッシュ・フロー)

項目5年前4年前3年前2年前当期
営業CF1,0507151,0661,192783
投資CF+27△594△185△615△691
財務CF△547△629△530△612△465
フリーCF+1,077+121+881+577+92
現金増減+571△485+412△55△292

(注)流動資産・固定負債の一部は概算を含む。各期の連結値で表記しています。

6. 指標まとめ: 稼ぐ力と安全性

やよい | 自信あり

ここまでを大まかにまとめよう。

  • 売上は5期で +13% 増え、営業利益率も 8%台 へ改善した
  • 当期は営業利益・純利益とも前期から微減。減損が最終利益を削った
  • 営業CFは高水準じゃが、当期は運転資金の悪化で 783億円 へ低下した
  • 設備投資を拡大し、フリーCFは +92億円 まで縮んだ

ようか | 自信あり

利益率も上がってるし、稼いだお金で攻めの投資をした年ってことだな!


ゆり | 無表情

さらに詳しいデータは、下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPEREBITDAROICあたりを、財務健全性は短期返済比率EBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率ネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER13.27倍時価総額 ÷ 親会社純利益。利益に対する株価水準
現金比率6.81%現金及び預金 ÷ 総資産。手元現金の厚み
短期返済比率36.98%短期返済額 ÷ 現金及び預金。短期の返済負担
ネットキャッシュ△476億円現金及び預金 − 有利子負債
ネットキャッシュ比率△4.77%ネットキャッシュ ÷ 時価総額
EBITDA1,633億円営業利益 + 減価償却費等。本業の現金稼得力
EBITDA/自己資本19.19%EBITDA ÷ 自己資本
EBITDA/利息113.28倍EBITDA ÷ 支払利息。利払い余力
ROIC8.17%営業利益×0.7 ÷ 投下資本。資本の使い方の効率

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!。

  • 原材料の市況変動・調達: 需給バランスや通商政策で原材料が調達しにくくなり、生産コスト上昇や供給停止につながるリスク。中東情勢の悪化も注視対象としている。
  • 為替・金利・保有資産価格の変動: 円換算への影響(1円/米ドルで営業利益に約5億円)、金利変動による住宅需要や利息への影響、保有資産・のれん・投資有価証券の減損リスク。
  • 経済動向・製品市況: 高機能プラスチックス等の市況変動による業績への影響。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

  • 発行済株式総数: 405,507,285株(提出日現在。2026年5月に2,500万株を消却)
  • 自己保有割合: 継続的に自己株式取得・消却を実施し、発行済株式数は5期で減少傾向
  • 1株当たり配当: 年間80円(5期連続増配、49円→80円)
  • 配当利回り(参考): 約3.25%(参考株価2,460.5円ベース)
  • 配当性向: 約54.7%。中計で連結配当性向40%以上・DOE3.5%以上・累進配当・総還元性向50%以上を掲げる

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は本記事作成時点(2026-06-22)の 2,460.5円 を使用しています。時価総額や株価依存の指標は、この株価を前提とした参考値です。

ネットキャッシュは現金及び預金から有利子負債を差し引いた値です。

本文では短期有価証券を0として計算しています。

発行済株式総数は提出日現在(405,507,285株)を用いています。事業年度末(430,507,285株)とは異なります。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります。

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第104期、2026年6月12日)をもとに作成した情報整理記事です。

特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。