決算分析

エア・ウォーター株式会社
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/08/04

過去最大の赤字と、過去最高の営業CF | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目
前提2026-08-03 時点の参考株価。提出日現在の発行済株式総数で算出
株価2,534円
発行済株式総数229,755,057株
時価総額5,822.0億円

過去最大の赤字と、過去最高の営業CF ―― エア・ウォーター2026年3月期を読む

提出日:2026-07-31 / 会計期:2026年3月期

項目前期当期前期比
営業利益625.38億円△371.57億円赤字転落
親会社帰属当期利益399.29億円△639.49億円赤字転落
営業CF927.37億円1,075.83億円+16.0%

ようか | 驚き

上の2つ、思いっきりマイナスじゃん!


やよい | 説明

うむ。

損益で見れば、この5年で最も重い期じゃ。


ようか | キョトン

……あれ?

一番下だけ増えてる?


やよい | 自信あり

そこじゃ。

本業で入ってくる現金は、逆に5期でいちばん多い。


ようか | 驚き

大赤字なのに、お金は過去最高で入ってきてるの!?

そんなことある!!


やよい | 説明

あるのじゃ。

しかもこの会社、今年は数字そのものにもう一つ厄介な話があってな。


ようか | キョトン

え、まだあるの?


やよい | あきれ顔

去年の決算の数字が、書き換わっておる。


ようか | 驚き

書き換わる!?

どういうこと!!


やよい | 説明

そこから話すのが早かろう。

順に見ていくぞ。


目次

  • 会社概要: 産業ガスを軸にした260社グループ
  • 収益構造: 広げた事業を絞り込む局面
  • 前期からの変化: 最高の売上と初の営業赤字
  • 当期の注目ポイント: 数字の焦点
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 積み上げた4期と反転した1期
  • 指標まとめ: 稼ぐ力と財務の状態
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 産業ガスを軸にした260社グループ

ようか | 笑顔

エア・ウォーターかぁ、空気と水を扱ってる会社だっけー?

やよい姉!解説よろしく!!

やよい | あきれ顔

仕方のないやつじゃな、細かい事業内容はこうなっておるぞ。

おおもとは酸素・窒素・アルゴンといった産業ガスじゃ。

そこを土台にして、医療、エネルギー、食品、物流まで手を広げてきた会社じゃな。

ようか | キョトン

ガス屋さんなのに食品もやってるの?

やよい | 説明

そこがこの会社の形じゃ。

グループは当社と連結子会社206社、持分法適用会社53社で、合わせて260社ある。

天気が悪くてもどこかが稼げるようにという「全天候型経営」を掲げて、この形になったのじゃ。

ゆり | 無表情

まとめたのです。

区分内容
主力商品・サービス酸素・窒素・アルゴンなどの産業ガス、医療用ガスと病院設備工事、LPガス・灯油
その他商品青果加工・冷凍食品・飲料の受託製造、物流、製塩とマグネシア、木質バイオマス発電、電子材料、エレクトロニクス商社
収益形態長期供給契約や検針・配送でつながる継続取引と、案件ごとに受注する機器工事が混ざる複合構造
開示区分IFRS連結。デジタル&インダストリー/エネルギーソリューション/ヘルス&セーフティー/アグリ&フーズ/その他の5区分

ようか | 笑顔

うわ、多すぎて目が滑る!

新しく増えたやつとかあるの?

ゆり | 無表情

当期に仲間入りした会社があるのです。

2025年10月14日に、歯科材料などを扱う㈱歯愛メディカルを連結子会社にしているのです。

取得日以降の売上収益は 525.94億円 ですね。

ようか | 驚き

ガスと歯医者さんの材料!

ぜんぜんつながらないんだけど!

やよい | 説明

医療用ガスと病院設備工事をやっておる流れじゃな。

医療機関に出入りする商売という点では地続きなのじゃ。

ただし報告セグメントの区分も当期に変えておるゆえ、事業ごとの比較は前期分までしか遡れぬ。

ゆり | 無表情

産業ガスを起点に、医療とエネルギーと食品まで束ねたグループということですね。

2. 収益構造: 広げる側から、選ぶ側へ

ゆり | 無表情

収益に対する企業姿勢はどうなのでしょう?

やよい | 自信あり

うむ。よい指摘じゃ。

当期は今までと逆で、広げてきた事業を絞る側に回っておる。

会社は再発防止策の柱の1つに「全社戦略の見直し」を置き、

事業ポートフォリオの見直しを進めると書いておるのじゃ。

ゆり | 真剣

有報には会社自身の言葉も載っているのです。

多角化の広がりとグループ会社数の増加によって、

自社グループのコアコンピタンスが不明瞭になったことも事実、と書いているのです。

ようか | キョトン

コアコンピ…なに?

全然わからん!

やよい | 説明

その会社ならではの強みのことじゃ。

手を広げすぎて、自分の強みがどこなのか分かりにくくなったと会社が認めておる。

2026年2月にポートフォリオ管理委員会を作って、

事業ごとに伸ばすか、直すか、統合するかを話し合っておるところじゃ。

ゆり | 無表情

コアに合わないと判断した会社は事業譲渡を進めて、2028年度中の完了を目標としているのです。

投資についても、今後のM&A投資と設備投資は事業環境を慎重に見極めて厳選する、と書いていますね。

やよい | 説明

うむ。そうじゃな。

広げる側から選ぶ側へ、方針そのものを切り替えたということじゃ。

ようか | キョトン

でも、ガスとか発電って大きな設備がいるんだよね?

やよい | 説明

よいところに気づいたな。

産業ガスのオンサイト設備もバイオマス発電も、設備を持たねば売上が立たぬ商売でな。

絞り込みをどこまで進めながら、必要な設備投資は続けられるのか。

今後はそこを見ていく必要があるな。

3. 前期からの変化: 最高の売上と初の営業赤字

前期の数字が2つある話

ようか | 笑顔

やよい姉、さっき言ってた「去年の数字が書き換わった」って話!

やよい | 説明

うむ、そこからじゃ。

この会社は比べる相手が2つあってな。

去年の有報に載っておる数字と、今年の有報に載っておる去年の数字が違うのじゃ。

まずは表を見るのじゃ。

2025/3期の項目当時の報告書当期の報告書(訂正後)
売上収益10,759.29億円10,130.70億円
親会社帰属当期利益490.74億円399.29億円
総資産12,501.49億円12,101.10億円
現金及び現金同等物706.09億円732.27億円

ようか | 驚き

えっ、去年の売上が600億円くらい減ってる!?

そんなことある!?

やよい | 説明

あるのじゃ。

2025年7月に子会社の在庫を巡る不適切な会計処理が見つかっての。

ようか | キョトン

それって、どのくらい広がってた話なの?

やよい | 説明

外部の専門家による特別調査委員会が調べた結果じゃがな。

2019年度から2025年度上半期まで、当社と相当数のグループ会社で広く行われておったと認定された。

一部は経営トップやマネジメント層の関与も認められておる。

ゆり | 悲しい

その結果、第22期から第25期までの連結数値が「連結の範囲の見直し等」を反映して訂正されているのです。

売上収益は4期とも 419〜629億円 の減額、親会社帰属利益は 15〜309億円 の減額なのです。

有価証券報告書の提出日も、例年の6月下旬から2026年7月31日へ遅れているのです。

ようか | 泣きつく

去年の数字が書き換わるとか、聞いたことないんだけど…

ゆり | 真剣

上場に関わる措置も受けているのです。

2026年5月1日付で、東京証券取引所から特別注意銘柄に指定されているのです。

指定期間は原則1年で、1年後に内部管理体制の審査が行われます。

ようか | キョトン

特別注意銘柄って、なに?

やよい | 説明

内部の管理体制に問題があるとみられた会社に、取引所が付ける印じゃ。

1年後の審査で問題ないと認められれば外れるし、問題ありとされれば原則として上場廃止になる。

どちらになるかは、いまの時点では決まっておらぬ。

ようか | キョトン

話を数字に戻すけどさ、じゃあどっちの数字で比べればいいの?

やよい | 説明

前期と比べるときは訂正後を使う。

訂正前と比べると、事業の変化と訂正の影響が混ざって二重に出てしまうからのう。

5期を並べるときは、各期の報告書に載った当時の数字も別に見せるゆえ、そこは後で整理する。

売上と利益:粗利は増えて、その下で沈んだ

ようか | 笑顔

やっと本題だ!

売上と利益、どっちも増えたんだよな!?

やよい | あきれ顔

そう都合よくはいかぬ。

売上と利益で向きが分かれておるのじゃ。

表を見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
売上収益10,130.70億円10,667.95億円
営業利益625.38億円△371.57億円
営業利益率6.17%△3.48%
親会社帰属当期利益399.29億円△639.49億円

ようか | 驚き

売上は増えてるのに、利益がマイナスに沈んでる!!

なんでこうなるの!?

ゆり | 無表情

営業利益の減り分 996.95億円 を、損益計算書の並びどおりに分けてみたのです。

要因前期当期前年差
売上総利益2,237.60億円2,402.97億円+165.37億円
販売費及び一般管理費△1,687.78億円△2,015.29億円△327.51億円
その他の収益126.38億円200.63億円+74.25億円
その他の費用△94.14億円△999.90億円△905.76億円
持分法投資損益43.31億円40.01億円△3.30億円
営業利益625.38億円△371.57億円△996.95億円

やよい | 説明

粗利はむしろ増えておる。

売上総利益率も 22.09% から 22.53% へ上がった。

落ちたのは下の行、つまり商品を作って届ける本業の外側にある損益じゃ。

ようか | キョトン

その他の費用って、なに?

やよい | 説明

資産の値打ちを切り下げる減損や、その年だけの出入りが入る場所じゃ。

エア・ウォーターはIFRSという会計基準を使っておっての、そこが営業利益の中に入る。

日本基準なら特別損失として営業利益の下に置かれるものが、ここでは上に乗ってくるのじゃ。

ゆり | 無表情

当期の減損損失は 1,079.81億円 なのです。

前期は 95.18億円 で、984.63億円 の増加ですね。

金額の大きいものを表にしてみたのです。

対象減損の金額
Air Water India Private Limited463.52億円(のれん219.12億円の全額を含む。割引率17.0%)
㈱歯愛メディカル129.80億円
Hitec Holding B.V.のれん55.77億円
エア・ウォーター小名浜バイオマス電力46.92億円
Power Partners Private Limitedのれん46.27億円
㈱日本海水TTS苅田パワー37.60億円
American Gas Productsのれん36.80億円
Ecofroz S.A.30.99億円
Phoenix Welding Supplyのれん27.41億円

ようか | 驚き

インドとかアメリカとか、海外の名前ばっかりだ!

やよい | 説明

そこが当期の中身じゃ。

海外へ買って広げてきた資産を、まとめて切り下げた年ということになる。

ゆり | 無表情

非流動資産の地域別内訳でも、米国とインドが縮んでいるのです。

地域前期当期
米国903.92億円741.52億円
インド555.02億円290.79億円

ようか | キョトン

利益が沈んだのって、減損だけの話じゃないの?

ゆり | 真剣

販管費も 327.51億円 増えているのです。

内訳を並べてみました。

販管費の内訳前年差
従業員給付費用+74.42億円
減価償却費及び償却費+43.10億円
運賃荷造費+17.22億円
その他+192.77億円

会社が別途開示している調査関連費用は 130.36億円 なのです。

やよい | 説明

わらわの見立てでは、その調査関連費用は販管費の「その他」の増加に入っておるのじゃろう。

ただ会社はどの科目に載せたかまでは書いておらぬゆえ、そこは推し量った話にはなる。

逆に利益を押し上げた側もあってな。

歯愛メディカルの支配を取ったときの段階取得差益が +123.25億円 じゃ。

ようか | キョトン

段階なんとかって、なに?

ゆり | 無表情

すでに持っていた 38.29% の株式を、

支配を取った日の公正価値 287.20億円 で評価し直したときに出る差額です。

現金が入ってくるものではないのです。

やよい | 説明

そのとおりじゃ。

それでも減損の大きさには届かず、営業損益は損失に沈んだ。

さらに金融費用も 57.78億円 → 184.90億円 へ増えての。

純利益は営業損益より減り方が大きくなっておる。

売上が増えたのはどこ?

ようか | 笑顔

利益はもう分かった!

売上が増えたほうは、どこが頑張ったの?

ゆり | 無表情

セグメント別に並べてみたのです。

セグメント前期比較前期当期
デジタル&インダストリー3,444.62億円3,299.38億円
エネルギーソリューション926.77億円985.02億円
ヘルス&セーフティー2,204.68億円2,684.71億円
アグリ&フーズ1,497.16億円1,529.88億円
その他の事業2,057.46億円2,168.94億円

ようか | 驚き

ヘルスなんとかだけ、めちゃくちゃ増えてる!

やよい | 説明

歯愛メディカルの 525.94億円 がここに乗っておるからじゃ。

逆に減ったデジタル&インダストリーは、鉄鋼向けの一部高炉が止まってガスの供給量が落ちた。

インドでも顧客の高炉メンテナンスが長引いての。

北米では水素関連の需要が減って、事業の一部を見直したと会社が説明しておる。

現金とネットキャッシュは?

ようか | 笑顔

そんなに損してたら、手元のお金もスッカラカンなんじゃない!?

やよい | あきれ顔

慌てるでない。

損益とキャッシュは別の話じゃ。

表を見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
現金及び現金同等物732.27億円871.39億円
現金及び現金同等物の対資産率6.05%7.16%
有利子負債4,228.07億円4,684.55億円
ネットキャッシュ△3,495.80億円△3,813.16億円
ネットキャッシュ比率△60.04%△65.50%

ようか | 驚き

あれ!? 現金は増えてる!

でも下の2つはマイナスが広がってる!

やよい | 説明

現金は 139.12億円 増えたが、借入と社債はそれ以上に増えた。

差し引きのネットキャッシュは 317.36億円 悪くなっておる。

ようか | キョトン

借金がこんなにあって、大丈夫なの?

やよい | 説明

産業ガスもバイオマス発電も、大きな設備を持って回す商売でな。

借金があること自体はおかしな話ではない。

気になるのは、当期に増え方が速くなったところじゃ。

ゆり | 真剣

財務の安全性も見ておきたいのです。

項目前期比較前期当期
親会社所有者帰属持分比率36.5%32.1%
流動比率126.06%109.90%
流動の社債及び借入金1,112.26億円1,770.19億円

ようか | キョトン

流動比率って、なに?

ゆり | 無表情

1年以内に現金にできる資産が、1年以内に払う負債の何倍あるかなのです。

100%を割ると、1年内に払う額のほうが多いということですね。

やよい | 説明

当期は 109.90% で、まだ100%は超えておる。

ただ1年内に返す借入と社債が 1,770.19億円 まで増えての。

手元の現金 871.39億円 の2倍を超えた。

全部返せる額ではないゆえ、借りたお金を借り直しながら回していく形じゃな。

ゆり | 真剣

有報には、借入の一部で条件に抵触している旨も書かれているのです。

㈱日本海水TTS苅田パワーと㈱日本海水のコミットメント付タームローンで、財務制限条項に抵触しているのです。

貸付人の請求により、期限の利益を喪失するおそれがあるのです。

現時点で喪失を適用する旨の通知は受けていない、とも書かれています。

ようか | 驚き

え、それってかなり大ごとなんじゃ…

やよい | 説明

不適切な会計処理が判明したことで、

シンジケートローン契約等の一部でも借入人の確約条項に抵触するおそれがあると会社は書いておる。

2026年2月に総額 1,130億円 のコミットメントラインを結んでおっての。

期末後の6月29日に 300億円、7月29日に 170億円 を実行したことも後発事象に載っておるな。

フリーCF:冒頭の「赤字なのに過去最高」

ようか | キョトン

フリーCFって、なんだっけ?

やよい | 説明

本業で稼いだ現金から、投資で出ていった現金を引いた残りじゃ。

会社が自由に使える分と思えばよい。

まずは表じゃ。

項目前期比較前期当期
営業CF927.37億円1,075.83億円
投資CF△602.76億円△886.11億円
フリーCF324.61億円189.72億円

ようか | 驚き

赤字なのに、営業CFは増えてる!?

どういうこと!?

ゆり | 無表情

営業CFを動かした要因を並べてみたのです。

いちばん大きいのは減損損失で、前年から +984.63億円 ですね。

位置づけ項目前期当期
主因減損損失95.18億円1,079.81億円
補助営業債権及びその他の債権の増減+59.07億円+265.97億円
補助契約負債の増減△3.27億円+64.19億円
相殺法人所得税の支払額△178.20億円△250.07億円

ようか | キョトン

損した話なのに、なんでお金が増える側に出てくるの?

やよい | 説明

減損は現金が出ていかぬ費用じゃからのう。

CFの計算では、税引前損失に足し戻されるのじゃ。

損益は沈んだが、その中身の大半はこの減損じゃった。

そこへ債権の回収も進み、営業CFはむしろ5期で最も多くなった。

ゆり | 無表情

債権の回収について、会社は債権流動化を通じて、

資産効率の向上と財務基盤の強化を図ったと書いているのです。

相殺の側では、段階取得差益 △123.25億円 の控除もあるのです。

ようか | 笑顔

冒頭のやつ、そういうことか!

やよい | 自信あり

うむ。

ただし手放しでは喜べぬ。

投資は買収と設備で膨らみ、残ったフリーCFは前期より減っておる。

ゆり | 無表情

投資CFの要因も並べてみました。

子会社の取得による支出だけで △233.25億円 の増加なのです。

位置づけ項目前期当期
主因子会社の取得による支出△24.67億円△257.92億円
補助有形固定資産の取得△664.60億円△711.88億円

ようか | 驚き

子会社の取得のところ、桁が違うんだけど!?

やよい | 説明

歯愛メディカルの株式公開買付けに伴う支出が中心じゃ。

設備のほうは、インドとアメリカのオンサイトガス供給設備と高圧ガス製造設備じゃな。

ゆり | 無表情

相殺の側もあるのです。

有形固定資産の売却 +77.34億円 と、投資有価証券の売却 +65.94億円 ですね。

設備投資の総額は 804.58億円 → 736.06億円 で、減らしています。

減価償却費及び償却費は 570.56億円 なのです。

やよい | 説明

投資が償却を上回る状態は5期続いておる。

オンサイトプラントも発電所も、設備を作らねば売上が増えぬ商売でな。

お金を使わずに伸ばせるところは見当たらぬ。

ただ当期は、新しく広げるためというより、買ってきたものを片付けるほうにお金と手間がかかった年じゃな。

ゆり | 無表情

資金の集め方も変わっているのです。

項目前期当期
短期借入金の純増減△41.77億円+622.56億円
長期借入れによる収入441.19億円282.10億円
1年内償還社債0.20億円100.00億円

ようか | キョトン

短いほうだけ、すごく増えてる…

やよい | 説明

うむ、借り方も当期にがらりと変わったということじゃな。

4. 当期の注目ポイント: 数字の焦点

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢

ゆり | 微笑み

まとめてみました


▶ 売上収益は前期比 +5.3%(10,130.70 → 10,667.95億円)なのです。訂正後の系列で並べると5期で最も多いのですが、訂正前の系列だと前期の 10,759.29億円 のほうが上なのです。主因はヘルス&セーフティーの +480.03億円 で、㈱歯愛メディカルの取得日以降売上 525.94億円 が入っているのです。

▶ 営業利益は 625.38億円 → △371.57億円、営業利益率は 6.17% → △3.48% なのです。減損損失 1,079.81億円 と調査関連費用 130.36億円 が中心で、段階取得差益 +123.25億円 が一部を打ち消したのです。

▶ 親会社帰属当期利益は 399.29億円 → △639.49億円 なのです。金融費用が 57.78億円 → 184.90億円 へ増えたことも重なったのです。

▶ 手元資金(現金及び現金同等物)は +19.0%(732.27 → 871.39億円)なのです。総資産に占める割合は 7.16% で、5期で最も厚いのです。

▶ フリーCFは △41.6%(324.61 → 189.72億円)なのです。営業CFは 1,075.83億円 で5期の最高ですが、投資CFが △886.11億円 へ拡大したのです。

▶ 有利子負債は +10.8%(4,228.07 → 4,684.55億円)なのです。ネットキャッシュは △3,813.16億円 で、5期すべてマイナスなのです。ネットキャッシュ比率が1を超える会社ではないのです。

▶ 収益は産業ガス、医療用ガス、LPガス、物流など継続取引の比率が高いのです。案件ごとに受注するフロー型と判定した売上は 3,865.41億円 で、全体の 約36% なのです。

▶ 1株当たり年間配当は 75円 で前期と同額の据置なのです。当期は親会社帰属当期損失のため連結配当性向は算定できず、次期の配当予想は 未定 とされているのです。5期の 56円 → 60円 → 64円 → 75円 → 75円 という増配の流れが、ここで一旦止まった形なのです。

▶ 第22〜25期の連結数値は当期の報告書で訂正済みなのです。売上収益は各期 419〜629億円、親会社帰属利益は各期 15〜309億円 の下方修正なのです。2026年5月1日付で東京証券取引所から特別注意銘柄に指定されているのです。


5. 5年推移の財務諸表まとめ: 積み上げた4期と反転した1期

ようか | 笑顔

前期との違いは分かったけど、ちょっと長いスパンで見るとどうなんだ!?

やよい | 自信あり

うむ、まずは稼ぐ力を見て行こう。

ここから並べるのは、各期の報告書に載った当時の数字じゃ。

訂正後で5期そろうのは売上と純利益だけゆえ、営業利益を並べるにはこちらを使うしかないのじゃ。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高8,88710,04910,24510,75910,668
当期純利益432401444491△639
営業利益652622683752△372
営業利益率7.33%6.19%6.66%6.99%△3.48%

やよい | 説明

ようか、ここから何を見る?

ようか | 驚き

売上の棒は3回伸びて、最後だけちょっと下がってる!

そんで利益が下にドンって突き抜けてる!

やよい | 説明

よく見ておるな。

ただ売上のほうは、どの数字と比べるかで見え方が変わっての。

ゆり | 無表情

前期の売上収益を、訂正前と訂正後で並べてみたのです。

売上収益金額
前期(当時の報告書)10,759.29億円
前期(当期の報告書・訂正後)10,130.70億円
当期10,667.95億円

やよい | 説明

訂正前と比べると、当期はわずかに下回る。

訂正後と比べると、当期のほうが上じゃ。

どちらの数字を並べるかで、当期が最高かどうかが入れ替わるということじゃ。

ようか | キョトン

ややこしすぎない!?

やよい | 説明

ややこしいのは事実じゃ。

利益率のほうは並べ方によらず分かりやすくての。

7.33% が最も高く、そこから 6%台 で横ばいが続いて、当期に一気に △3.48% じゃ。

ゆり | 無表情

2023/3期にも気になる動きがあるのです。

売上は +13.1% と伸びていますが、営業利益は減っているのです。

売上総利益率が 22.41% → 19.91% へ下がっていますね。

この年は何があったのでしょうか?

やよい | 説明

原材料やエネルギーの値上がりを、売値へ移すのが間に合わなかったとみるのが自然じゃな。

ただし会社はその年の実額を出しておらぬゆえ、わらわの推し量りにすぎぬ。

そしてこの年は訂正の影響も最も大きくてのう。

ゆり | 無表情

訂正後の系列も並べてみたのです。

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上収益8,4689,5409,66410,13110,668
親会社帰属当期利益41793366399△639

ようか | 驚き

2023年のところ、利益が10分の1くらいになってる!!

やよい | 説明

訂正後だと 92.68億円 じゃ。

利益への訂正影響が 308.69億円 とこの年に集中しておる。

なぜこの年に寄ったのかまでは、開示された情報からは追い切れぬ。

さて、次にキャッシュの流れを追っていくぞ。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び現金同等物596659650706871
現金及び現金同等物の対資産率5.83%6.04%5.31%5.65%7.16%
ネットキャッシュ△2,869△3,008△3,537△3,476△3,813
ネットキャッシュ比率△72.6%△67.4%△70.3%△71.4%△65.9%
フリーCF184△142△183311190

ようか | 驚き

左の棒、真ん中の2回だけ下に出てる!

もう1つの棒はずっと下に伸びっぱなしだ!

やよい | 説明

フリーCFがマイナスになったのは2023/3期と2024/3期じゃ。

特に2024/3期は投資CFが △979.66億円 と、5期で最も大きい。

ゆり | 無表情

その2024/3期に出ていったお金と、増えた資産を並べてみたのです。

2024/3期の主な投資金額
事業譲受201.33億円
子会社の取得73.22億円
有形固定資産の取得634.69億円
項目2023/3期2024/3期
総資産10,916.45億円12,226.96億円
のれん651.30億円818.59億円

ようか | キョトン

この年だけ、いっぱい買い物してたんだね!

やよい | 説明

そこが当期とつながっておる。

ここで積み上げたのれんと海外資産が、当期の減損の対象になったのじゃ。

のれんは 802.80億円 から 515.87億円 まで減っておる。

ようか | キョトン

じゃあ買ったものが全部ダメだったってこと?

やよい | あきれ顔

そう極端でもない。

歯愛メディカルの取得で新しいのれんが 312.90億円 生まれ、同じ年に 129.80億円 を減損しておる。

買った直後に一部を切り下げた形じゃが、残りは資産として残っておるのじゃ。

ゆり | 無表情

ネットキャッシュ比率は5期とも大きくマイナスですが、当期は前期より小さく見えるのです。

これは借入が減ったということですか?

やよい | 説明

そういう理解の仕方もあるが、本質的には別物じゃ。

この行は各期の提出日の株価で計算しておってな、当期は株価のほうが上がっておる。

借入そのものは 4,182.28億円 → 4,684.55億円 と増えておる。

ネットキャッシュのマイナス幅も広がっておるのじゃ。

ゆり | 微笑み

さらに詳細に知りたい人向けに、財務諸表をまとめたのです。

必要な方は以下を見るといいのです。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び現金同等物596659650706871
流動資産3,7694,3114,4944,5664,666
有形固定資産4,4294,4344,9775,2605,056
総資産10,22010,91612,22712,50112,163
流動負債2,6302,9973,1753,2794,246
固定負債(非流動負債)3,3913,4553,9673,8543,807
純資産(資本合計)4,1994,4655,0855,3694,110
自己資本比率38.66%39.41%39.96%41.37%32.08%

▼ PL(損益計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高(売上収益)8,88710,04910,24510,75910,668
売上原価6,8968,0488,0438,4448,265
売上総利益1,9912,0012,2032,3152,403
営業利益652622683752△372
親会社帰属純利益432401444491△639

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
営業CF7165707969321,076
投資CF△532△711△980△622△886
財務CF△66193147△273△57
フリーCF184△142△183311190
現金増減12651△3054140

(連結・IFRS、単位は億円。各期の報告書に載った当時の数値で、第22〜25期の訂正は反映していません。IFRSでは「売上収益」が日本基準の売上高、「資本合計」が純資産、「非流動負債」が固定負債にあたります。自己資本比率は親会社所有者帰属持分比率です。現金増減は為替変動影響を含む現金及び現金同等物の増減額です。有利子負債は社債及び借入金の合計で、リース負債は「その他の金融負債」に含まれるため除いています)

6. 指標まとめ: 来期に答えが出る問い

やよい | 自信あり

ここまでを大まかにまとめよう。

…と言いたいところじゃが、ようか、最後にまとめるのじゃ。

ようか | 自信あり

任された!

赤字も去年の数字の書き換えも、正直かなり重たかったけどさ!

それでも本業で入ってくる現金は過去いちばん多かったんだよな!

やよい | 自信あり

ほう、続けるのじゃ。

ようか | 笑顔

歯医者さんの材料の会社も仲間に入って、医療まわりはぐっと大きくなった!

体制の作り直しも始まってるって話だし、ここからどう立て直すのか注目だな!

やよい | 説明

よい締めじゃ。

その注目のしどころを、もう少し細かく分けておこう。

  • 1年後の審査で、特別注意銘柄の指定は外れるのか? → 2026年5月1日付の指定で、期間は原則1年。解除・継続・上場廃止のどれになるかは、いまの時点で決まっておらぬ。
  • 減損 1,079.81億円 は、これで一巡したのか? → 海外を中心に切り下げたが、のれんは 515.87億円 残っておる。歯愛メディカルの分は買った直後に一部を減損しておるゆえ、残りの評価も来期の見どころじゃ。
  • 1年内に返す 1,770.19億円 をどう回すのか? → 手元の現金 871.39億円 の2倍を超える。財務制限条項の抵触も残っておるゆえ、借り直しの条件が変わらぬかを見ておく必要がある。
  • 配当75円の据置は、次も続くのか? → 次期の配当予想は 未定 じゃ。5期の増配の流れがここで止まったまま戻るのか、方針ごと変わるのかは、まだ書かれておらぬ。

ゆり | 微笑み

さらなる分析用は下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPEREBITDAROICあたりを、財務健全性は流動比率EBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率ネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER算定不能時価総額 ÷ 親会社帰属当期利益。当期は損失のため意味を持たない。会社も基本的1株当たり当期損失であるため株価収益率を記載していない。前期(訂正後基準の利益399.29億円)で機械計算すると14.58倍
現金比率7.16%現金及び現金同等物 871.39億円 ÷ 総資産 12,162.87億円。5期で最も厚い水準
流動比率109.90%流動資産 4,666.27億円 ÷ 流動負債 4,246.02億円。5期で最も低い。1年内返済の社債及び借入金1,770.19億円が流動負債に入る
ネットキャッシュ△3,813.16億円現金及び現金同等物 871.39億円 − 有利子負債 4,684.55億円。有価証券はIFRSの区分上、独立した科目が無いため0円として計算。リース負債472.14億円を含めると△4,285.30億円
ネットキャッシュ比率△65.50%ネットキャッシュ ÷ 時価総額 5,821.99億円(記事作成時点の参考株価ベース)。1を超える水準ではなく、ネット有利子負債側の会社
EBITDA198.99億円営業利益 △371.57億円 + 減価償却費及び償却費 570.56億円。前期は1,244.77億円。減損1,079.81億円を戻した実力ベースでは1,278.80億円相当(会社開示ではない参考計算)
EBITDA/自己資本5.10%EBITDA ÷ 親会社所有者帰属持分 3,902.29億円。5期で27.47%から低下
EBITDA/利息1.08倍EBITDA ÷ 金融費用 184.90億円。金融費用には一過性の「その他の金融費用」125.28億円が含まれる。支払利息58.42億円で計算すると3.41倍
ROIC△3.03%営業利益×0.7 ÷(自己資本+社債及び借入金)。前期は5.63%

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!

  • ガバナンスの機能不全に関するリスク(当期に顕在化・新設): 2025年7月に連結子会社で在庫を巡る不適切な会計処理が確認され、調査の対象が当初想定を超えて拡大。当社と相当数のグループ会社で複数年度にわたる不適切な会計処理が行われていた。在庫の過大計上、資産評価損の先送り、売上の過大計上と先行計上、不要な取引先を介在させた売上の嵩上げ、引当金の計上回避など。エア・ウォーター防災では証憑の偽造、㈱日本海水では代理人取引の総額表示なども認定された。
  • 特別注意銘柄指定による上場廃止リスク(新設・欄外): 2026年5月1日付で東京証券取引所より特別注意銘柄に指定。指定期間は原則1年で、1年後の内部管理体制の審査で問題があると認められる場合は原則として上場廃止となる。
  • 資金調達リスク(新設): シンジケートローン契約等の一部で借入人の確約条項に抵触するおそれ。㈱日本海水TTS苅田パワーと㈱日本海水のコミットメント付タームローンでは財務制限条項に既に抵触しており、貸付人の請求により期限の利益を喪失するおそれがある(現時点で通知は未受領)。
  • 情報セキュリティリスク: サイバー攻撃等による情報流出や、生産設備・管理システムへの不正アクセス。2025年7月に連結子会社㈱リプロワークで廃棄処理したPC用記憶媒体がネットオークションで販売され個人情報が流出、2026年6月に被害病院が廃棄物処理法違反で刑事告発した旨の報道がある。
  • 非金融資産の減損リスク: 有形固定資産、のれん、無形資産を多く保有し、のれんと耐用年数を確定できない無形資産は毎期減損テストを実施。当期に1,079.81億円が実際に発生した。
  • 海外事業リスク: M&Aによる海外展開を進めており、言語・法制・税制の相違や政治的、社会的、経済安全保障上の要因で事業が停滞する可能性。
  • 調達リスク: 産業ガスの製造に大量の電力を使用し、電力コスト上昇を価格転嫁できない場合の影響。ヘリウムの地政学的要因、LPガス・灯油の原油価格連動、青果・豚肉の天候と市況、バイオマス燃料の海外依存。
  • 制度変更リスク: 医療費の適正化政策が続く中で、大規模な診療報酬や薬価の改定が行われた場合のメディカルプロダクツ事業への影響。
  • 自然災害リスク/品質リスク/事故リスク/為替リスク/環境リスク: 項目自体は5期を通じて継続。新型コロナウイルスに関するリスク項目は当期に削除されている。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目数値補足
発行済株式総数229,755,057株2026年3月31日現在、提出日現在も同数。2019年12月以降変わっておらず、株式分割・併合の実施もない
自己株式数528,862株自己保有割合0.23%。5期で1.41%(信託分を含む合計)から低下。取締役会決議・株主総会決議による自己株式取得は「該当事項はありません」で、当事業年度の取得は単元未満株買取1,573株と譲渡制限付株式報酬の無償取得のみ
1株当たり年間配当75円中間37.50円+期末37.50円。前期と同額の据置。5期では56円→60円→64円→75円→75円
配当総額171.90億円2025年11月13日取締役会決議85.95億円、2026年6月4日取締役会決議85.95億円。キャッシュ・フロー上の配当金支払額は184.63億円で、非支配持分への支払を含むとみられる
配当利回り2.96%参考株価2,534円ベース
連結配当性向算定不能当期は親会社帰属当期損失のため算定できない。提出会社単体も当期純損失210.36億円のため記載が省略されている。5期の配当性向(提出会社)は111.6%→287.6%→89.2%→70.6%→―
次期配当予想未定新たな経営方針、事業戦略、事業ポートフォリオの見直し等を踏まえ、株主還元方針を含めて検討中のため未定。合理的な算定が可能となった時点で速やかに開示する予定と記載
配当方針該当なし中長期的な成長に向けた戦略的投資と財務健全性のバランスを勘案しながら、安定的かつ継続的な株主還元を基本方針とする、という定性的な記載のみ。数値目標は開示されていない
ストック型収益に対する配当4.45%案件受注型と判定した売上(アグリ&フーズ1,529.88億円+機器工事2,368.82億円-重複分33.29億円=3,865.41億円)に対する配当総額171.90億円の割合。ストック型と判定した収益に対しては配当が相対的に小さい
大株主上位10名で36.58%日本マスタートラスト信託銀行(信託口)11.56%、日本カストディ銀行(信託口)3.62%、三井住友信託銀行3.46%、日本製鉄3.01%。所有者別では金融機関37.60%、外国法人等27.50%、個人その他15.71%、その他の法人11.41%
1株当たり親会社所有者帰属持分1,702.38円参考株価2,534円に対するPBRは約1.49倍(会社開示ではない参考計算)。前期は1,929.76円

7. 補足: データの読み方と注意点

参考株価は本記事を作成した時点の値(2,534円、2026-08-03 終値)を使用しています。時価総額・PER・配当利回り・指標まとめのネットキャッシュ比率はこの参考株価を前提とした参考値で、時価総額の計算では自己株式を控除していません。自己株式528,862株を控除したベースの時価総額は5,808.6億円です。

エア・ウォーターはIFRS会計基準の適用会社で、5期すべてIFRSです。日本基準とは項目の意味が異なり、「売上収益」が日本基準の売上高、「資本合計」が純資産、「非流動資産・非流動負債」が固定資産・固定負債にあたります。特にIFRSの営業利益は、減損損失や固定資産売却損益などを「その他の収益・その他の費用」として営業利益の中に含みます。日本基準なら特別損益として営業利益の下に置かれるものが、営業利益の段階に現れる点にご注意ください。当期の営業損失は、この扱いの影響を強く受けています。金額は原則として億円に丸めているため、合計欄と内訳の単純合算に丸め差が生じる場合があります。

当期の有価証券報告書では、第22期から第25期までの連結数値が「連結の範囲の見直し等」を反映して訂正されています。本記事の5年推移表・財務諸表・指標まとめは、各期の報告書に載った当時の数値(訂正前)で作成しています。一方、前期比較と要因分析は当期の報告書に載る訂正後の前期(売上収益10,130.70億円、親会社帰属当期利益399.29億円)を基準にしています。2つの系列は一致しないため、混ぜて読まないようご注意ください。訂正後の営業利益は第25期と第26期しか開示されておらず、第22期から第24期の訂正後営業利益は取得できませんでした。また訂正の年度別・手口別の内訳金額は開示されておらず、本記事に記載した訂正の影響額は訂正前と訂正後の突合による算出値です。2023/3期に利益への影響が集中した理由も、開示された情報からは特定できませんでした。

5年推移表のネットキャッシュ比率は、各期の有価証券報告書提出日の終値と当時の発行済株式総数から算出した各期の時価総額に基づく参考値です。前期比較表と指標まとめのネットキャッシュ比率は、記事作成時点の参考株価に統一した参考値のため、算出基準が異なり値がずれています。

ネットキャッシュは現金及び現金同等物から有利子負債(社債及び借入金の流動・非流動の合計)を差し引いた値です。有価証券は抽出した財務データに該当科目の行が5期とも無いため0円として扱っています。またリース負債はIFRSの区分上「その他の金融負債」に含まれ独立した科目が無いため、有利子負債に含めていません。注記から当期472.14億円・前期432.92億円は確認できましたが、2022〜2024/3期の内訳は取得できませんでした。リースを含めると実質的な負債水準はこれより大きくなります。

報告セグメントの区分が2度変わっています。2022/3期は産業ガス関連・ケミカル・医療・エネルギー・農業食品・物流・海水・その他の8区分で、2023/3期以降が5区分です。さらに当期に5区分内での移管が行われ、前期分のみ変更後区分で組み替えて開示されています。このためセグメント別の5期比較はできず、本記事のセグメント別表は当期と前期の2期のみを扱っています。

売上をストック型とフロー型に分けた判定は会社の開示ではなく、契約形態や有報の記載から推し量った区分です。同様に、調査関連費用130.36億円が販売費及び一般管理費のどの科目に計上されたか、2023/3期に売上総利益率が低下した理由、繰延税金資産の回収可能性見直しが法人所得税費用に与えた影響額は、いずれも開示されていないため推定を含みます。

当期の有価証券報告書は、例年の6月下旬提出から約1か月遅れて2026年7月31日に提出されています。不適切な会計処理に関する調査対応によるものです。2026年5月1日付で東京証券取引所より特別注意銘柄に指定されており、指定期間は原則1年間です。1年後の内部管理体制の審査結果によって、指定解除・指定継続・上場廃止のいずれになるかは本記事作成時点で確定していません。また、責任調査委員会による現旧の取締役・監査役の法的責任の調査、㈱リプロワークの個人情報流出に関する影響額、次期の配当予想も、いずれも未確定または未開示です。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第26期、2026年7月31日提出)をもとに作成した情報整理記事です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。