決算分析

株式会社トーモク
2026-03期 有報5年推移分析

公開日: 2026/07/26

最高益と配当2.5倍 | 有価証券報告書 2026年3月期

参考株価と時価総額

項目
前提2026-07-17 時点の参考株価。提出日現在の発行済株式総数で算出
株価4,395円
発行済株式総数19,341,568株
時価総額850.1億円

最高益 ―― トーモク2026年3月期

提出日:2026-06-22 / 会計期:2026年3月期

項目前期当期前期比
営業利益93.6億円113.8億円+21.6%
1株配当100円130円+30円
有利子負債676.6億円702.1億円+25.5億円

ようか | 笑顔

トーモク、営業利益が5年で最高だって!!

配当も 130円 まで増えて、絶好調じゃん!?


やよい | 説明

うむ、景気のよい数字じゃな。

じゃがその下の行、借金は 702億円 ある。

現金より 462億円 も多いのじゃ。


ようか | 驚き

え!?

借金まみれなのに、配当増やして大丈夫なの!?


やよい | 自信あり

ふふ。

この会社の「借りながら稼ぐ」形が分かると、その見え方も変わるぞ。

順に見ていくのじゃ。


目次

  • 会社概要: 段ボールと北欧住宅の3本柱
  • 収益構造: 投資して伸ばす体質
  • 前期からの変化: 粗利率改善で最高益へ
  • 当期の注目ポイント: 数字の焦点
  • 5年推移の財務諸表まとめ: 谷から最高更新へ
  • 指標まとめ: 稼ぐ力と安全性
  • 補足: データの読み方と注意点

1. 会社概要: 段ボールと北欧住宅の3本柱

ようか | 笑顔

トーモクかぁ、段ボールを作ってる会社だっけー?

やよい姉!解説よろしく!!

やよい | 自信あり

うむ!わらわが解説してやるぞ。

主力は飲料や食品の箱になる段ボールじゃが、それだけではない。

輸入住宅の「スウェーデンハウス」と、トラック・倉庫の物流も持つ3本柱の会社じゃ。

ゆり | 無表情

まとめたのです。

区分内容
主力商品段ボールシート・ケース、印刷紙器(米国・ベトナムにも拠点)
その他商品輸入住宅「スウェーデンハウス」、戸建て分譲(玉善)、貨物運送・倉庫
収益形態消耗財のリピートと受注が中心のフロー型(運輸倉庫は継続取引型と推定)
開示区分段ボール、住宅、運輸倉庫の3セグメント

ようか | 焦り

段ボール屋さんがおうちも建てるの!?

段ボールハウスか!?

やよい | あきれ顔

そんなわけないじゃろ。

スウェーデン製の木の部材で建てる、れっきとした輸入住宅じゃ。

連結売上の 10% 超(383.9億円)を稼ぐ大事な柱じゃぞ。

ゆり | 無表情

最近は柱の中身の入れ替えもしているのです。

ようか | 焦り

柱を段ボールに!?

ゆり | 無表情

まだ続けるのですね…

ようか | 笑顔

ごめん、やりすぎた!

ゆり | 無表情

2025年にクニヨシとフジショウを子会社にして、

2026年4月には伊藤園ロジテムを売却したのです。

やよい | 説明

段ボールを軸に、住宅と物流を組み合わせる。

買収で広げつつ、手放す判断もする。

動きのある5年じゃったな。

2. 収益構造: 投資して伸ばす体質

ゆり | 無表情

この会社は、稼いだお金をどう使う方針なのでしょう?

やよい | 自信あり

2026年5月に出した中期経営計画で「安定成長志向経営から『質』を重視した経営へ移行」と宣言しておる。

2029年3月期に売上 2,400億円、営業利益率 6.0%、ROE 8.0% が目標じゃ。

ゆり | 無表情

お金の使い方にも、その姿勢は出ているのでしょうか?

やよい | 説明

出ておるぞ。

設備投資は5年合計で約 522億円、減価償却費の5年合計 388億円 をずっと上回っておる。

本業で稼いだ現金の8割近くを工場や倉庫につぎ込み、さらに毎年のように会社を買っておるのじゃ。

ゆり | 微笑み

先にお金を使って、規模と質を両方上げていく姿勢、ということですね。

やよい | 説明

うむ。

今後は利益率6.0%の目標に対して、当期に上がった粗利率 18.1% を保てるかが見どころじゃな。

3. 前期からの変化: 粗利率改善で最高益へ

売上・利益はどう動いた?

ようか | 笑顔

去年と比べて売上と利益はどうだったの?

段ボールって地味に見えるけど、実は儲かってたり!?

やよい | 説明

うむ、今回はその読みが当たっておるぞ。

売上は小幅な伸びじゃが、利益の伸びが大きかったのじゃ。

項目前期比較前期当期
売上高2,196.1億円2,240.9億円
営業利益93.6億円113.8億円
営業利益率4.3%5.1%
親会社株主純利益65.1億円73.6億円

やよい | 説明

売上は +2.0% なのに、営業利益は +21.6% も増えた。

種を明かすと、もうけのもとが太くなったのじゃ。

ゆり | 無表情

数字を並べたのです。

項目前期当期
売上総利益369.4億円406.0億円
粗利率16.8%18.1%

やよい | 説明

売上総利益が +36.6億円 増えて、販管費の増加 +16.4億円 を上回った。

粗利率の改善が効いた形じゃな。

ゆり | 真剣

補足すると、会社側の要因説明は抽出データに無いので、粗利率改善が主因というのは推定なのです。

それでも営業利益率 5.1% は、この5年で最も高い水準なのです。

手元資金とネットキャッシュは?

ようか | 驚き

現金は増えたの?

借金が700億円もあるって聞いてビビってるんだけど!?

やよい | 説明

慌てるでない。

まず数字を見るのじゃ。

項目前期比較前期当期
現金及び預金210.0億円239.6億円
現金及び預金の対資産率10.2%10.7%
有利子負債676.6億円702.1億円
ネットキャッシュ△466.6億円△462.5億円

やよい | 説明

現金は +29.6億円(+14.1%) で3期連続の増加、5年で最も厚くなった。

ゆり | 無表情

借金も +25.5億円 増えています。

中身はどうなのでしょう?

やよい | 説明

推定じゃが、買収と設備投資に充てる短期借入の増加(+22.0億円)が主で、長期借入はむしろ返済超過じゃ。

ゆり | 無表情

負債の重さとしてはだんだんと減っているのですね。

やよい | 説明

うむ。

現金より借金がずっと多いネットデットの会社じゃが、

工場や倉庫へ先にお金を入れて稼ぐ業態ゆえ、借入とセットの経営は昔からの形なのじゃ。

ゆり | 真剣

ただ、気にしておきたい数字もあるのです。

項目前期当期
自己資本比率44.8%45.6%
支払利息5.5億円8.5億円

ゆり | 真剣

体は丈夫になっていますが、利息の負担は増えているのです。

借金の量だけでなく、利息の重さも見ておくべきなのです。

フリーCFはどうなった?

ようか | 驚き

フリーCFが半分になったって本当!?

最高益なのになんで!?

やよい | 説明

うむ、そこが今回いちばん動いた数字じゃ。

項目前期比較前期当期
営業CF181.4億円151.7億円
投資CF△82.6億円△106.5億円
フリーCF+98.8億円+45.3億円
  • 営業CF要因: 主因は棚卸資産の反転。前期は在庫を減らして +43.7億円 の現金を生んだが、当期は在庫が増えて △16.8億円(前年差△60.5億円)。売上債権の回収寄与も縮小(+16.7→+6.7億円)。相殺要因は税引前利益の増加 +17.0億円 と仕入債務の増加 +26.8億円
  • 投資CF要因: 主因は子会社株式の取得が △2.2億円→ △15.9億円 へ増えたこと(クニヨシ、フジショウの完全子会社化)。有形固定資産の売却収入の減少(20.2→14.7億円)も重なった。
  • 設備投資: 開示額は 108.7億円 と減価償却費(84.6億円)を上回る。売上を伸ばすほど設備投資が要る構造で、フリーCFは投資のタイミングで振れやすいのじゃ。

やよい | 説明

つまり前期のフリーCF98.8億円は、在庫圧縮と投資の小休止が重なった出来過ぎの年じゃった。

ゆり | 微笑み

当期の45.3億円への半減は、その反動と買収代金が乗った結果で、本業が急に弱った話ではないのですね。

やよい | 自信あり

そうじゃ。

稼いだ現金の使い道が、在庫の戻りと会社の買収へ向かった1年じゃな。

4. 当期の注目ポイント: 数字の焦点

ようか | 泣きつく

ゆり姉ぇ~わたしにも分かるようにポイントまとめて~😢

ゆり | 微笑み

まとめてみました。


▶ 売上高は前期比 +2.0%2,240.9億円。営業利益は +21.6%(113.8億円) で、営業利益率 5.1% は5年で最高なのです。

▶ 増益の主因は粗利率の改善(16.8%→ 18.1%)で、売上総利益の増加 +36.6億円 が販管費増を上回ったのです(ここは開示に無いので、数字から推し量った推定なのです)。

▶ 手元資金(現金及び預金)は +14.1%239.6億円 と3期連続の増加で、5年で最高なのです。

▶ フリーCFは △54.2%(98.8→ 45.3億円)と半減。主因は前期の在庫圧縮の反動と、子会社取得 15.9億円 への支出増なのです。

▶ ネットキャッシュは △462.5億円 のマイナス(実質有利子負債経営)で、ネットキャッシュ比率1以上には該当しないのです。

▶ 株主還元は累進配当・配当性向30%程度目標を明記。当期は年 130円 配当(前期比+30円)、連結配当性向 29.1% なのです。

5. 5年推移の財務諸表まとめ: 谷から最高更新へ

ようか | 笑顔

前期との違いは分かったけど、もっと長い目で見るとどうなんだ!?

やよい | 自信あり

うむ、まずは稼ぐ力を見て行こう。


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高2,0602,1282,1152,1962,241
当期純利益6053536574
営業利益83758194114
営業利益率4.0%3.5%3.8%4.3%5.1%

やよい | 説明

ようか、このグラフ、どこが気になる?

ようか | 自信あり

売上はじわじわしか増えてないのに、営業利益は最後の2年でグンと伸びてる!

やよい | 説明

よい目の付け所じゃ。

2023年3月期での、営業利益 74.5億円、営業利益率 3.5% まで沈んだ。

ゆり | 無表情

粗利率が16.5%から 15.8% へ下がってるのです。

やよい | 説明

そこから3年かけて粗利率を 18.1% まで戻し、当期の利益率 5.1% は5年で最高になったのじゃ。

※粗利率低下が主因というのは、有報のリスク記述にある原料や燃料の値上がりとあるが、実額付きの会社説明は抽出データに無いため推定

ようか | 自信あり

粗利率を改善してきてるんだな!

やよい | 自信あり

この流れが続くかが重要じゃぞ。

次にキャッシュの流れを追っていこう


項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金167150181210240
現金及び預金の対資産率8.8%7.7%8.5%10.2%10.7%
ネットキャッシュ△505△546△549△467△463
ネットキャッシュ比率△174.4%△139.1%△100.3%△86.4%△63.4%
フリーCF△15△24+18+99+45

ゆり | 無表情

ネットキャッシュがずっとマイナスですね

やよい | 説明

そうじゃ。

借金は多いままじゃが、現金は150億円を底に 239.6億円 まで増え、

自己資本比率も39.8%から 45.6% へ上がっておるぞ。

ゆり | 無表情

借りながらも、体は少しずつ丈夫になっているということですね

ようか | 自信あり

ここ数年はフリーCFがプラスだな

2022年3月期までマイナスで

やよい | 説明

2022年3月期は物流拠点の開設や米国工場の増築で設備投資が

135.9億円 に膨らんだのじゃ

ゆり | 無表情

借入を使って、設備投資して回収する流れですね

やよい | 説明

うむ。

ネットキャッシュのマイナスは気になるが、

しっかり稼げる体質に改善しようとしておるのじゃな。

ゆり | 微笑み

なるほど。理解できました。

さらに詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたので、必要な方は以下を見るといいのです。

▼ 財務諸表を見る

ゆり

詳細に知りたい人向けに、財務諸表まとめたのです。

▼ BS(貸借対照表)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
現金及び預金167150181210240
流動資産812836938895965
有形固定資産909946964954991
総資産1,9001,9542,1342,0682,238
流動負債494676665535657
固定負債645470577600551
純資産7618078929341,030
自己資本比率39.8%41.0%41.5%44.8%45.6%

▼ PL(損益計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
売上高2,0602,1282,1152,1962,241
売上原価1,7211,7921,7671,8271,835
売上総利益339336348369406
営業利益83758194114
親会社帰属純利益6053536574

▼ CF(キャッシュ・フロー計算書)

項目2022/3期2023/3期2024/3期2025/3期2026/3期
営業CF16770111181152
投資CF△182△94△93△83△106
財務CF+41+5+10△71△22
フリーCF△15△24+18+99+45
現金増減+28△17+31+28+25

(連結・日本基準、単位は億円。現金増減は現金及び現金同等物の増減額を指す)

6. 指標まとめ: 稼ぐ力と安全性

やよい | 自信あり

ここまでを大まかにまとめよう。

と言いたいところじゃが、たまには任せてみるかの。

ようか、最後にまとめるのじゃ。

ようか | 自信あり

任せろ!

  • 利益は過去5年でいちばん!

  • 配当は 130円 まで増えて、累進配当宣言つき!

  • 新しい中計は2029年3月期に売上 2,400億円・営業利益率 6.0%

ゆり | 微笑み

さらなる分析用は下を開いて見るのです。

分析用データを見る

指標まとめ(2026年3月期)

やよい: 単純な数値では測れぬが、バリュエーション指標としてはPEREBITDAROICあたりを、財務健全性は流動比率EBITDA/利息あたりを、株主還元余地は現金比率ネットキャッシュ比率を指標として見るとよいぞ。

指標算出値見方
PER11.55倍時価総額 ÷ 親会社株主純利益73.61億円。自己株控除後は9.85倍
現金比率10.7%現金及び預金 ÷ 総資産。資産に占める現金の厚み
流動比率146.7%流動資産 ÷ 流動負債。短期の支払い余力
ネットキャッシュ△462.53億円現金及び預金 + 有価証券 − 有利子負債。マイナスは借金超過
ネットキャッシュ比率△54.4%ネットキャッシュ ÷ 時価総額(参考株価4,395円ベース)
EBITDA198.39億円営業利益 + 減価償却費。本業の資金創出の目安
EBITDA/自己資本19.4%EBITDA ÷ 自己資本。資本に対する稼ぐ力
EBITDA/利息23.3倍EBITDA ÷ 支払利息8.53億円。利払い負担への耐性
ROIC5.0%税引後営業利益 ÷ 投下資本。5年では3.8〜5.0%で推移

リスク

ようか: 有報からの抜粋だぜ!

  • 需要・市況変動: 住宅は政策・金利・地価の影響を受けやすく、段ボールの海外拠点は現地景気に左右される。
  • コストプッシュ: 原料の逼迫や燃料価格の上昇による原価増。2023年3月期の利益の谷と符合する記述。
  • 調達に関するリスク: 木材・原紙・燃料の調達難と価格転嫁の遅れ(2024年3月期から独立した項目)。
  • 事故のリスク: 運輸や住宅施工現場での重大事故(2024年3月期から新設)。
  • 人材確保のリスク: 建設技能者・ドライバー不足(2024年3月期から新設)。
  • そのほか為替・金利、自然災害、気候変動、法規制・訴訟、減損、品質、情報セキュリティを開示。リスク項目は5年で9項目から11項目へ増加。

株主還元

ゆり: 株主還元だけを見ての投資はダメですが、長期で買う前提の場合は現在値を知っておきましょう。

項目数値補足
発行済株式総数19,341,568株5期間不変、株式分割なし
自己株式数2,845,113株自己保有割合14.7%。相互保有株式を含めると15.13%
1株当たり年間配当130円中間65円+期末65円、配当総額21.44億円
配当利回り2.96%参考株価4,395円ベース
配当方針配当性向30%程度目標2025年3月期の有報から「累進配当」を明記。1株配当は5年で52円→130円と2.5倍、連結配当性向29.1%
自己株式大規模取得・消却なし還元は配当が中心
ストック型収益該当なし段ボール・住宅ともフロー型中心。運輸倉庫の継続取引型は開示に無いための推定

補足

参考株価は本記事を作成した時点の値(4,395円、2026-07-17時点)を使用しています。

財務数値は連結(日本基準)ベースで整理しています。時価総額・PER・配当利回り・ネットキャッシュ比率は参考株価を前提とした参考値で、自己株式は控除していません。

ネットキャッシュは、現金及び預金と有価証券の合計から有利子負債(短期借入金+1年内返済予定の長期借入金+長期借入金)を差し引いた値です。投資有価証券151.8億円×0.7(約106.2億円)を含めた参考値は△356.3億円です。

5年推移表のネットキャッシュ比率は、各期の有報提出日終値(1,496円/2,029円/2,827円/2,793円/3,770円)と当時の発行済株式総数から算出した各期の時価総額に基づく参考値です。当期の指標まとめのネットキャッシュ比率(△54.4%)は記事作成時点の参考株価4,395円ベースのため、5年推移表の当期値(△63.4%)と異なります。

有価証券報告書の抽出データに経営成績の増減説明(MD&A)とセグメント別の売上・利益が含まれないため、粗利率改善が増益の主因といった説明は、粗利やCFの明細から推し量った推定を含みます。

運輸倉庫セグメントの伊藤園ロジテムの全株式は2026年4月1日付で売却済みで、当期末の数値には同社が含まれています。

財務諸表は EDINET のデータから自動取得しているため、正確性に欠ける可能性があります

本記事は EDINET 提出の有価証券報告書(第87期、2026年6月22日提出)をもとに作成した情報整理記事です。 特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 投資判断はご自身の責任でお願いします。